想う。

「お・・・おぅ?」
目を覚ましたら、顔が無性にくすぐったいので起きてみると・・・
「にゃあ、にゃ!」
「うん?」
猫?みたいなのが顔を舐めてくる。

「ちょっと〜、あんまり森の中で勝手に行動しないで〜!」
「?」
近くで何か声がする・・・?そういえば周りは木々ばかり、森なのかここは。
「ったく、ロジックも探すのをサボっているみたいだし、みつけんのも楽じゃない。」
ひょっとしてこの猫探しているんだろうか?
「やれやれ・・・。」
顔を舐めている猫を抱え、声のする方へ行こうと・・・。
「うん?足ねぇな。」
自分に足が無いことに気付く、代わりに霊体みたいのがあるからまぁいいや。
「おーい、探してるのはこの何か猫みたいなのかい?」
「え?あ、どうも、そうで・・・。」
「?」
こっちの顔を見て青ざめている、何だ?
「ギャアアアアアアアアア!!化けて出た!」
「はい?」
「ちょ、ちょ!ロジック!おい来い!」
「あんだよー、今茸の栽培してん・・・。」
違うところから声が・・・というより此処で茸栽培する気なのか、結構奥深い気がするが平気か?

「!おおおお!?」
そして、そいつは物凄い速度で抱きついてきた。
「ちょ・・・ロジック!」
「あぁ、あったけぇ、やわらけぇ・・。」
思いっきり抱いてくるため、少し苦しいし・・・。
「・・・」
「って!?のおおお?」
「そぉい!」
何か虫唾が走ったので、一本背負いを決めてやった。
「イッティ・・・。」
眼がクルクルになっている、どうなっている。
「何だよ、急に。」
「まぁ、そうなるでしょうね。」
「・・・それはともかく、化けて出たとか言われたが、私は幽霊か何かなのかい?」
「え?うーん、思念体か幽霊だと思うんだけどねぇ。」
「思念体・・・。」
何だろうその単語を聞くと心がキラキラする。
「・・・目が輝いているね、じゃあ思念体なのかな?って、思念体!?」
「おおう?」
急に手を握ってきた、そんなんばっかりかコイツらは。
「あの、良かったらで良いのですけが、私達の研究を手伝っていただけないかなぁ、って。」
「研究?」
学者かなんかか?
「えぇ、思念体について今研究している所なんです、と言っても、肝心の思念体の皆様には協力を断られているのです(;ω:)」
「そ、そうなのか?」
「はい、違反の思念には「知るか」、破壊衝動の思念には「うっせぇ、壊すぞ」、欲の思念には「む」、慈悲の思念には「ごめんなさい」、その周りの思念には「やだ」「断る」
嘘の思念には「もちろんOKだYO。」って言われて、やった!と、思ったらうっすら気づいていたけどウソだったし〜。」
「そ、そうか。」
1人も知らない時点で何が何だか。
「ま、まぁ、思念体について知れるっていうのなら、手伝ってもいいけ・・・。」
「本当!ありがとうございます!」
握った手を嬉しそうにブンブン振り回す、返事は最後まで聞こうね、うん。
「みゃあ。」
「そういえばコイツは?」
「あぁ、その子はね、あそこで伸びている奴のものよ。」
「・・・。」
そういえば、起きない。
「にゃあ!」
・・・なんだ?言葉が分かるぞ。
「・・・あ?帽子になりたい?」
「え?」
「にゃ!」
「ったく、いきなり色々ありすぎだろ、いいよ、勝手にしな。」
「♪〜」
(・・・あの帽子猫があんなになつくなんて、ロジック起きたらビビるだろうなぁ。)
「とりあえず、私たちの家兼ラボに来てよ!」
「ん?ソイツ起こさなくてもいいかい?」
「いいよ、引きずっていけばいいんだし。」
そう・・・か?








ズルズルと本当に引きずっている、いいのか?
「もうすぐだからね。」
「あ、あぁ、そうなの。」
ていうより、見た目より怪力だな、この子。
「ここ!」
なんか全体的に丸い研究所だ。
「へぇ。」

中の広い講義の部屋の様な所に案内された。
「広いな。」
「無駄にね。」
確かにさっきの奴と2人暮らしなら無駄に広いかもな。
「それで、思念体について今まで私たちが調べたことについてお話しするわ!」
「ん?いや?ちょっと待って」
「何?」
「そういえば、何て名前?」
「あ、ゴメン忘れていたわ、私はヒューリ=スティクスよろしく!」
「よろしく、それで、思念体っていうのは?」
「思念体、この世界の感情や行動が具現化されたもので、一般的に足が無くて、霊体になっているの、例外も何件かあったけどね。」
成程、私に足は無い。
「それで、思念体は具現化して行動や感情を性質として1つ持っているみたい、さっき言ったのなら「違反、破壊衝動、欲、慈悲、信仰心」みたいなね、それでそれが途中で変化することもあるとか、アナタも思念体なら何か有るはず。」
私にもあるんだろう、そういう物が、分からんけど。
「そして、大抵が、何か能力を持っているのがスタンダード「違反を力に変える」とか「破壊を操る」とか、まぁ、意外とこれわかんないかもね。」
能力か、何なのかは、いずれわかるか、いずれ。
「それで、発生のしかたまでは分からないの、アナタみたいに急に現われる例が多いらしいけどね、主観だけど。」
「主観かい・・・。」
今はコイツの予想を聞きたいわけではないのだが。
「アナタも性質有るはずなんだけどねぇ。」
「そうか、私が何の性質か予想出来ないものか?」
「予想って言ってもねぇ、予想できるほど思念体といないしなぁ。」
そうか、予想は難しいか。
「ま、自分で予想すればいいんだけどな。」
「え!予想だと何なの!?聞かせてその予想。」
1つ思ってた言葉が有る、というかウザったい程出ている単語だ。
「よ そ う だ」
「止そう?何をですか?」
「分かってて聞き間違えたろ、予想だ、予想。」
「予想?まぁ、面白い性質ですね。」
面白いのか?
「メモっとこ、ロジック起きるまでに多少まとめないとね。」
そういえばさっきの奴が起きる気配がない、というより。
「なぁ、さっきさ、化けて出たとか、私誰かに似ているのか?」
「あぁ、その話?うん、ロジックのお母さんに似てるんだよ。」
親がいないのか?
「・・・、そうね、ロジックも寝てるし、私も協力を頼んだ以上は話さなきゃいけないよね。」
「?」


「ロジックの両親はもともと優秀・・・いやそこそこ優秀な科学者だったのよ。」
「直す意味あるか?」
「私の方が凄いし。」
負けず嫌いか。
「ともかく、科学者だったわけ、それでその技術を広くに普及させるために講堂兼ラボが欲しいってわけで、ここを借金で買ったの。」
「へぇ。」
「それで、営業していたんだけどいかんせん、生徒不足でね、ま、取り立てが多かったんだけどね、ほら此処って無駄に広いでしょ、それなりの金額だったのよ。」
「ん?金額知っていたのか、ていうよりお前どこで此処に入ったんだよ?」
「慌てない、慌てない、追って説明するから。」
「・・・じゃあ、続きを頼む。」
「えっと、それで経営が圧迫されていた時にね、美味しい話が入ってきたんだよ」
「美味しい話?」
「優秀な技術者募集、試験に受かればなんでも協力するっていう話が来たんだよ。」
「そんな話が・・。」
「怪しいだろ?私は行かなかったんだがね、案の定そんな話無かったらしい、まぁ言ってないから確証はないけど。」
「無いのかい。」
「しゃあないでしょ、実際に現場で見聞きしたわけじゃないんだし、とにかく!そんな試験が有ったんだよ、それで生活がひっ迫している、ロジックs親はその話を疑いもせず試験会場の郊外の森に向かったんだ。」
森って・・・、なんでそんなナチュルな場所でやると思えるんだ。
「それっきりさ、一切親が戻ってくることは無かったし、連絡もない、完全に蒸発してしまったんだよ。」
「どうなったんだ?」
「さぁ?それでラボに残ってたロジックとその帽子猫は孤立したの。」
「zzz」
(帽子のくせに寝てる上、よだれ垂らしやがる。)
「・・・正確に言うと、唯一の生徒だった私も含めてね。」
「!」
「まぁ、その後私もちょっと気になって現場に行ってみたんだけどね。」
「どうだったんだ?」
「惨劇の跡以外何もなかったし、何もいなかった。」
「惨劇の跡?」
「抵抗したような跡と、それを弾圧したような、そんな様な跡。」
見ただけでわかるのだろうか。
「すくなくとも、無事ではないな、と思ってね、ロジックにそのことを全て話したんだ、どうも子供には心配かけたくないって、私とか一部の生徒にしか話してなかったみたい。」
「それで?ロジックだっけ?アイツはどうなったんだい?」
「親が全てなアイツは大号泣さ、ま、アイツも若かったからね、まだ若いけど、子供ってそんなもんだしな。」
そうか、それでさっきは急に飛びついて来たのか。
「それからというものアイツは無気力な人形みたいになっちゃってね、全然やる気見せないのよ。」
「でも、今は普通だよね?」
「まぁね、時間ってのは凄いね。」
でもまだ疑問が有る。
「借金ってどこ行ったんだ?その話だとまだ大量に残っているはずだが。」
「あぁ、それはね、私が払ったの、自慢じゃないわけじゃないけど私けっこう裕福だから。」
自慢かい。
「それならなんで最初から払ってやんなかったんだ?」
「生徒に負担はかけちゃいけないって精神かららしいね、それで自分たちが消えちゃったんだから本末転倒だけど。」
ガバッ!!「ちりめんと煮干しの甘辛いため!」
「うわ!起きた!」
さっきから、倒れていたロジックが急に立ち上がった。
「あら、起きたの?」
「あ、か、かかぁさん!」
またこっちに突進してき
「そいつはかあさんじゃないわ!」
「がはっ!」
左手の一撃で制止、再び撃沈。
「幽霊じゃなくて思念体みたいよ、性質は予想。」
「がはっ、グフッ!え?思念?」
「・・・。」
見た目より重い一撃だったらしい、立てなくなってる。
「そういえば、名前は憶えているの?」
そういわれれば。
「名前?うーん特に出て来ないなぁ。」
「じゃあ、私達で付けちゃおっか、いい?」
「あ?まぁいいか。」
別に名乗る名前は無いのだから、何でもいいや。
「ロジックカモン!」
「いや、待って、腹が。」
「立てい!」
「は、はい!」
「・・・。」
コントか、後ろでヒソヒソやっている、長い。
〜10分後〜
「決まりました!」
「どんなの?」
「まずロジックの提案でお母さんの名前アポリアを襲名していただきます!」
アポリア?」

「そして次に予想の思念だからということで私が逆賭(ぎゃくと)を与えて・・・アポリア=ギャクト!これでどう!?」
アポリア・・ギャクト・・・。」
いい、すごくいい。
「気に入ったよ!うん・・・アポね。」
「そう、なら良かった。」
「それと・・・ロジックの提案何だけどさ、自分で言いな。」
「?」
何だろう。
「あの・・・師匠って呼ばせてください!」
「はぁ?」
「その猫帽子、父さんのだったんだけど全然懐いてくれなくて、もう諦めかけてたんだ!でもあっさり懐いて被れるなんて、母さんが嫌なら、せめて師匠で。」
「その理屈は分からんが、名前を付けてくれたからな、まぁ勝手にするといい。」
「やった、師匠!」
ということは弟子か。
「私もせっかくだから師匠って呼ぶことにしたわ。」
「おう、じゃあ弟子たち。」
「なに?師匠。」
「他の思念体に会いたい、何か無性に。」
ぽっとそんなことを思った。
「よぉし、行きましょう!師匠! ヒューリ!」
「はいはい。」
何か調べ始める。
「これ、はい。」
いくつかの書類を渡している。
「おう、これは今調べた限りの思念体の位置だ!」
「ほぉ!」
まぁそんな気はしていたが。
「それでどこから行くんだい?」
「もちろん考えていますよ、師匠!」
「どこだい!」
「ここだ!」





「それで?何で俺のところに来るんだ?」
「いや〜、近くにいたので!」
「・・・キラキラ」
「何でこんな澄んだ眼で見つめられなきゃならない?」
「お名前はぁ?私はアポリア=ギャクト。」
何か頭が吹っ切れた。
「し、師匠!?」
「・・・帰っていいか?」
「待ってください!」
「名前〜。」
「えーい!手を握ってくるな!分かった!分かった!俺はヘイト=レッド!怨みの思念だ!」
「ヘイトさんですかぁ、良いお名前・・・。」
「師匠、性格変わってます。」
分からんが、こうしていたい。
「とにかく手を離せ!」
「あぁ。」
振りほどかれた、寂しい。
「・・・ハンドクラッカーァァ!」
「わわっ!」
突然の爆風。
「逃げられたか。」
「あぅうー。」
「泣かないで下さいよ師匠。」
「ま、まだいますから。」




「・・・・。」
「あ、あの!」
「・・・。」
「彼女は気難しいのよ。」
「・・。」
「だったら!全速前進だ!」
真っ直ぐ向かう
「おーなまえーはー?」
「・!」
「ぅわあ!?」
「あー、拒まれたか。」
「師匠!!」
そこそこ遠くまで飛ばされた、うう・・・嫌われてるのか?

「彼女は拒絶の思念らしいよ、だから近づいたら大抵吹っ飛ばされるよ。」
「最初に言ってよぉ。」
「ま、まだ次ありますよ。」



「あら、新しい思念なんですか。」
「そうです!アナタのお名前は?」
やった!会話が通じた!
「私はヴィヤズと申します。」
「ヴィヤズさんですか、私はアポリア=ギャクト!!」
「は、はぁ。」
「まぁ、いきなり手を振り回されればそうなるよね。」
「・・・アポリアさん申し訳ありませんが、私はこれから破損データの修復に行かなければならないのですが・・・。」
「そっか、じゃあ、また会ってくださいね。」
「ええ、また会いましょう。」

(これ会えないんじゃない?)
(言ったらだめよ。)


「うーん、今調査出来ている人に変わりないなぁ。」
「人じゃない!思念だ!」
「うぇ!?」
いかん口が勝手に。
「師匠、思念絡むと怖いっすね。」
「え?あぁ、すまん取り乱した。」
「それよりさ、一度ラボに戻らない?」
「え?」
唐突に何だ。
「いや、実はお腹減っちゃって。」
「はぁ・・・?」
「それで!家に帰ろうと?ヒューリ?」
「うん。」
「じゃあ、師匠帰りましょう!」
「え?他の思念は?」
「また後でな。」
「むー。」


戻ってきてしまった、もっと思念体といたかったのだが。
「さーて、ご飯つくロット!」
「何の杖だよ。」
「・・・。」
でも、これからどうしようか。
「師匠、家に泊まりましょうよ!空部屋ならたっぷりありますし。」
「そ、そうか?」
他に当ては無いし、一度ここで策を練るというのもありかもしれないな。
「じゃあ、そうさせてもらうかな、やたら眠いし。」
「奥にベッドあるんでどうぞー。」
とりあえず、寝よう。




「・・・!?」
「悪いが協力してもらうぜ。」
「こんな大勢の部下を連れて何をしようと?」
「何もしないさ、そっちがなにもしなければな。」
「ロジック・・・ロジックゥゥ!?」
「ゴメン☆捕まった!」
「動けばコイツがどうなるかわからんぞ?」
「チッ、何処へ行けばいいんだ?」
「黙って付いて来ればいいのだよ。」
「・・・、分かったでもメモ用の書類を何枚か用意させて。」
「何故だ?」
「そうじゃないと、協力できないわ。」
「まぁ、いいや、早くしろよ。」




「ふぁ〜あ。」
あんまりいい目覚めでは無かった、猫帽子を被って寝ることになるとは。
「おーい、弟子共!」
「・・・。」
あれ?
「いないのか?」
なんだろう、嫌な予感がする。
「ん?」
これは、書類を重ねてあるが、なんだ?
「使  命感、批  判、転  移、扇  動、ゆ  め、じ は、秘  密、弱   気、爆  笑、信  仰心、禅  定、疲   労、望   希」
何かの暗号か?思念の性質か?・・・・。







「ん?全部思念体の名前も書いてあるな。」
そうか!
「・・・成程な。」
部屋を探り、私はある場所に向かった。





はずだった。
「と、遠い、なんだこの距離は・・・。」
ヘロヘロだし、もう無理、あともう一息なのだが。
「むぎゅー。」
倒れてしまった、お腹も減ったし、限界か。
「あ?」
目の前にあるのは葉っぱ?
「はむっ!」
何だこれは!ウマいぞ!
「バリバリ。」
青虫とはこうなのだろうか。
「はむ、むぐむぐ。」
「さーて、うん?」
「ムグッ!」
声がした、まさかこれ作物だったのか?
「誰だい?」
「・・・。」
イカン・・・どうしたものか。
「なんだ?また迷い人か?」
「迷い思念だ!・・・・・・あ・・。」
「おう?」
しまった、習性で。
「迷い思念?まぁいいけど、それ気に入ったのかい?」
「あ?えー、美味しかったけど。」
「セロリ好きか、なら今もっとあげるから家に入んな。」
へ?
「ディグリー!」
「あいあいさー!」
うわっ、なんかいる!
「よし行こう!」
「わわわ!?」
私より背が低いのに軽々持ち上げられた、どうなっているんだ?


「・・・、泥まみれじゃないか。」
「うん?そういえばさっき葉っぱもといセロリを食べたときに付着したのか。」
「体洗ってきたら?食べるもんはテキトーに用意しとくし。」
「あん?」
何を言ってるんだ。
「替えの服もあるよ!」
「はぁ!?」
何故ここまで至れり尽くせり!?
「迷い人が多いからね、この間は死にかけの思念と角の生えていた女の子だったけど。」
「思念?」
「元気になったらどっかいっちゃったけどね。」
「なんだ。」

まぁ、でも私も女の子なんだし、服装も気にするか。
「じゃあ行ってきますか。」
「ディグリー案内頼んだぞ!」
「ウイッス!!」


入浴&着替え&洗濯中


「ふぅ〜、生き返ったね、死んでないけど。」
「それは何より、ほい。」
「おぉ!」
目の前にはフルコースが!
「うまうま。」
何か肝心なことが欠落しているような・・・。
「あ。」
ロジック、ヒューリ・・・。
「ああああああああああああ!」
「ど、どうした?勇者の名前テキトーにつけたのか!?」
「違う!えっと、目的地はここじゃないんだよ!」
「目的地?」
「この先にある町に用が有るんだ!」









「それで?何の協力をすればいいわけ?」
「簡単だ、思念についてだ。」
「だったら、素直に思念に聞けばいいじゃないか!」
「うるさい、僕は僕のやり方でやるよ。」
「銃を向けるなよ、おっかないだろ。」
「おいおいモデルガンじゃないぜ、これは愛銃」

「「ノットロードさ!」」


「服乾いたぞ。」
「早いな!」
「アポは行くぜ、飯ありがとな。」
「また来いよ〜。」




「あと少しだ・・・。」
レーダーに映っている建物は見つかったが、どう行こうか。
「見張りがいるなぁ。」
「何やってんだ、あんた?」
「!?」



「つまり、思念が自身の性質を振り切った性格になれる方法はあるか?ってこと。」
「そのとおりだ、感謝をしない感謝の思念みたいな感じにできるのか?」
「ふー、答えから言うと無理ね、ロジックの研究結果によると、それは性質変化をさせないと、ただ、どうやったら性質が変わるかわからないけどね。」
「出来ないだと?アイツの迷いを断つことは出来ないのか?いや!お前ら!なにか方法を考えろ!その為に連れてきたんだ!」
「アイツ?」
「質問は受け付けない!」
「ロジック!」
(ロジックさえ、人質にされてなければ・・) 





「ふーん、あの中の奴を助けたいのね。」
袋を被っている思念と目を閉じている女の子がいた。
「それじゃあ、私が囮になりますよ。」
「あぁ?手伝うのかよ、せっかくじゃが芋持って来たのに。」
「運動した方がおいしく感じますよ、それに、本当は暴れたいんでしょ?」
「・・・見破るねェ、でも日目も試してみたいんじゃないの?」
「そうだ、装置の成果を見せてくれ!」
「うぉおあ!?」
急に背後から、クマガッツリな白衣の思念が出てきた。
「いたのかよ?」
「早く行くが良い。」
「仕方ありませんね。」
「猫頭は勝手に行きな。」
「・・・ポカーン。」
ついていけない。



「そうだねぇ、強い想いがあったりすれば、体が変化を起こすかもね。」
「強い・・・。」
「だけど、下手すれば、存在が危うくなるかも。」
「リスキーというわけか。」
「そうか・・。」
「でもこんなことする割には目的は自分のためじゃないのか?」
「・・・質問は受け付けな・・・」
「これは思念体の変質には大切なことだ、教えてくれ。」
「・・・ちょっと前、僕は思念を助けた、不良グループの長である僕がね。」
「別にいいんじゃないの?」
「良くない!それで、その思念は僕を慕ってきたんだ!舎弟関係ではなく、家族として、だがそんなものは僕にとっては不要だった、だから!関係を切ったんだ!」
「・・・。」
「ソイツが纏わりつかないように!性質を変えようと・・・爆音!?」
「何だ!」
よし、注意が外に向いている。
「ロジックこっち!」
「師匠!」
「族長!見張り20人がほぼ全滅です。」
「なに!?」
「やれやれ!」
「!」
ヒューリが縛られていた腕を自力で千切った!?
「この程度で縛った気になってるなんて甘いねぇ、このヒューリステックス相手にさ・・・。」
「ロジック、これ・・・どういう事?」
こんな強気なのか?
「ヒューリ怒らせるとこうなるんだよ。」
周囲にいた部下を一撃でなぎ倒すヒューリ。
「な、なんなんだ、おまえは・・・。」
「さぁ、なんだろうねぇ。」
「・・・くっそが!」
あっさり相手の拳を制し銃を取り、蹴りを入れる。
「かっ・・・。」
ヒューリの顔色が変わる。
「!アンタも何だ?」
「どうしたんだ?」
「存在が薄いね、生きてんのか?アンタ。」
「・・・。」

「おいおい、まさかソイツ。」
「ゆ、ゆうれ・・・。」
「亡霊か・・・。」
白衣の思念が付いてきていた!ビックリ!
「・・・ふむ?なるほど私の研究対象にはなりえんな。」
「どうして?」
「ソイツはもう消えるからだ。」
「!?」
そういえばさっきより透けているような。
「・・・説明しろ、お前の口から!」
思わずそう言っていた、どうした自分・・・思念でもないのに。
「・・・隠す意味も無いか、良いだろう話してやる。」
 
 助けたという話は本当だ、巨大な蛇からな。

「巨大な蛇?」
「あぁ、デカい蛇だった。

だがその先は違う、僕はソイツにこの世界から弾き出された、計画を邪魔するものだとな。

「計画?」
「それが何なのか全く分からないがな。」
嫌な予想が立っている、外れることを願うばかりだ。

その後僕はなんとか、半ば幽霊と思念の様な何かとなってこの世界に強引に戻ってきたんだよ。

「だが、その存在も中途半端だったようだな、しかもそこいらにいる部下も同じ様に消え始めている。」
「・・・ここにいるのは、もともとこの世界を離れていた奴らが多い、そんな奴らが、僕の会った、あの思念の所為なのか、未練がましく帰ってきたんだが、はっ、僕が消えたら連動して消えるのかよ。」
「そんな仕組なのか?」
「そうみたいだ・・・。」
もう消えてしまいそうだ。
「じゃ、じゃあ最後に聞いていいか?」
口が勝手に動いている、何でだ、何でなんだ!
「何だ?」
周りが全員こっちを見ている、だが言葉は続く。
「お前は本当にその思念を除けたいが為に性質変化させたかったのか?」
「・・・!」
動揺している。
「どうなんだ!」
消えかかっている奴の胸倉を掴むのは気が引けないことも無いけど、そんな精神状態ではない。
「・・・・・もうどうなってもいいか・・・あいつは悩んでた・・。」
「・・・。」
「迷う自分に、答えを出せない自分に、悩み、苦しんでいたんだ!」
「それを救いたかったんだな!」
真っ直ぐと眼を見るとそれが本心なのだと分かる。
「・・・だから何だ!例え、周りからみて間違っている方法だったとしても!僕はアイツの迷いを断って、楽しく過ごしてほしんだよ!!」
「お前の気持ちもわかる、だが!その思念体は本当にそんなことを望んでいたのか!!」
「・・・!何もわからない奴がなにを言う!!」
「あぁ!分からないね!だけど!分からないこそ言えることもあるんだよ、その思念はきっとお前の想いを知って更に悩んでいるんじゃないのか!?」
「・・・分かってるよ!!そんなこと!・・わかって・・・るんだよぉ。」
「・・・お前自身、悩み、苦しんでたんだろ!?そんなに苦しいなら話せよ!誰かを頼れよ!」
「・・・・・頼りたかったさ、だが、今まで素行不良だった僕に手を貸す奴なんていなかったよ。」
「それはお前の勝手な思いだろ!どんな素行不良だったとしても誰かを救いたいのなら、協力してくれるやつは絶対何処かにいるんだよ!!」
「・・・お前みたいな熱い思いのある奴がいれば良かったのにな・・・。」
周りに恵まれない上に辞めさせられたのか・・・。
「・・・これを持って行け。」
近くに落ちていた銃を渡してきた。
「この銃はノットロードって言ってな、先に道が無い、諦めと悲しみの銃だった。」
「だった?」
「これからはお前が、後ろに道が無い、未来への希望の銃として使ってくれ。」
「・・・なんでアポに?」
「それは僕にはとても扱いきれないし、そこのロジックとか言ったか?」
「!な、何だ!?」
急に話を振られて、驚いている。
「お前の親が持っていたものだ、息子が思念と一緒にいてその思念が信用できるやつだったら渡してくれと言われていたんだ。」
「おれの親が?会ったのか!?」
「あぁ、・・・・・消える前にな。」
「!」
ロジックの表情がみるみる曇っていく。
「ロジック・・・。」
ヒューリが心配そうにみている、白衣の思念さんは考え事をしている様だ。
「・・・それにしても。」
この銃は妙にしっくり来る、まるでアポの為に作られているみたいに。
「・・・そこの思念よ耳を貸せ。」
「?」
なんだ?
耳を貸す、正直思念以外にこんなことはしたくないが、コイツも思念もどきみたいなものらしいからいいか。
「もし、その悩んでいる思念に会ったら伝えて欲しい、〜〜〜と。」
「!?」
「出来ることなら迷いを払った後、自分の口から言いたかったんだがね、どうも間に合わない様だ。」
「そ、そん、それってお・お・・まえ!ば・・・なん・・・アポだって/////」
「迷うことなき、本心さ・・・。」
「・・・何を言ったんだろう。」
「さぁね、でもロジックさ・・・何か想うところあるよね。」
「?」
「偶然会った思念が、アンタの母さんそっくりで猫帽子が懐いて、そのうえで親が残した銃を渡される、到底これって予想出来ないことじゃない?」
「ま、まぁ、そうだな。」
「そん、どうすんだよ・・・これアポが・・・言うんだろ・・・//////」
「お迎えが来たようだ・・・頼んだ・・・・z」
「消えた・・・。」

「いや・・・え・・・だって・・・やだー//////」
「し、師匠平気ですか?」
「え?いや平気は、平気だけどさぁ!!/////」
「耳まで真っ赤よ!」
「キャー。」
白衣の思念に抱きつく。
「・・・なんのマネだ?」
「いや、もう発散法が見つからなくて。/////」
「成程、だが、私は研究結果も採れたし帰らせていただくぞ。」
「っ!?」
あっさり抜けられた。

「新分野の良いデータが取れたな、ではまたな!」

「雑魚しかいなかったな。」
「いえ、途中で消滅したから、実際そんなに戦ってないですよね。」
「ま、早くじゃがバター作ってよ。」
「はいはい。」






「これから、どうするの?」
「うーん、思念体巡りでもするさ、あ・・・あの事も言わない・・・とだし。」
(ホントに何を言われたんだろう。)
「・・・師匠は私たちの研究対象でもあるのよ?忘れないでね。」
「あぁ、そうだったな。」
「・・・・。」
「ロジック、母さんと重なるのは分かるけど、師匠だってやりたいことはあるよ。」
「上手く表現できないよ、今の気持ちは。」
「旅に出るって言うんだから、素直にお祝いすればいいの。」
「・・・。」
「・・・安心しなさい、ロジックまた帰ってくるわよ。」
頭を撫でていた、時々自分がなんでこんなことをしているのか、素直に予想できない。
「か、あさああん!」
「うお!ま、今はいいか。」
正面から抱きとめる。
「・・・私がこの研究所に残った意味があったみたいね、良かった良かった。」

「必ず戻ってきてね!!」
「もちろん。」





















「懐かしいね、大分昔のお話だ。」
「というより、あの人消えた時、皆反応薄かったよね。」
「だってそれ以上に、あんなこと言われちゃあね。」
「あ、何て言われたの?」
「まだ本人に伝えられてないからダメ。」
そうなのだ、ヒントが少なすぎて全く掴めないのだ、悩んでる思念なんていくらでもいるしな。
「え?まだなの?」
「ま、まぁね、旅にでたのだいぶ前何だけど。」
「あの後3日後に帰ってきたのは吹いたけどね。」
「だって行くあて無かったもん。」
「まぁ、心配するよりはいいじゃん。」
「あの後思念体増え続けてるよね。」
「保存に無自覚だっけ?更に不安に、模倣だったかな?」
「な!?知らない!」
増えるのは嬉しいが知らないのが増えるのは悲しい、会いに行かねば。
「そういえば、今日は何の用なの?昔話を懐かしいねー、っていうわけでもない気がするんだけど。」
「う、それはだな、新世界に行けるかどうかなんだけど。」
「無理じゃない?」
「な!?」
「思念体ってこっちの世界の具現化だし。」
「う・・・そうだよな。」
「でも、何とかなるんじゃない?」
「え?」
「だって、新しく思念が増えるとしたら新世界だし」
「それなのにあの師匠がこっちで消えたままとは思えない。」
「ロジック意外と冷静だな。」
「ははは、じつはなヒューリ。」
「私達は新世界に行くよ!」
「は?」
「方法は違うけど、新世界に行って、研究を再開しないと!」
「ね☆」
「・・・ふふ、そうか。」
思念以外で笑うことなんてまず無いと思っていたけど、そんなことは無かったか。
「また会おう弟子たちよ!!」
「ええ!!」
「もちろん!!」
そしてまた、3人が出会うのは、もっと先のお話で。









おまけ・メッセージの読み方。
「使  命感、批  判、転  移、扇  動、ゆ  め、じ は、秘  密、弱   気、爆  笑、信  仰心、禅  定、疲   労、望   希」
これはまず名前に変換して性質が反対なのは苗字と名前を入れ替える。
「ダーティ、スピア、ゲーティア マッド、つくも街道、バニッシュ、ジグレット、ヨワキ、はるつぐれ ビリーヴ、ダ、ダーイー、シグレ」
文章になるよう濁点を取って頭文字をとる。
「たすけまつ、ばしょはひきだし」
「助け待つ、場所は引き出し」
引き出しにレーダー入れといたんですね、ご都合主義。