〜胡瓜の戦番外編〜 お蛇と街。

注意!
 このお話は前回のお話の続きの様なものです、微妙に。
 
 他の方のキャラを出そうかと考えましたが、色々な都合所、ちょっとしか出せませんでした、ゴメンナサイ、すみません。

 キャラが定まってないのは、私のせいです、みんなごめんね。




まぁ、そんな感じで、始まります。




















 ここは復興の街、名前募集中なのは秘密だ!
そしてその地下に存在する夢現海、もとい誤解蛇のいる、アジト、今回は良からぬことが起こる様だ・・・。

「ったくよぉ・・・ネミィナァ・・・。」
ダルそうに机に突っ伏しているのは夢現海随一の外道、夢現海巻人である。

「眠いのはお前だけだ、他の奴は働いているんだぞ?」
そう諭すのは、悪魔という設定が出てきているのに外道じゃない夢現海先人である。

「眠いもんは、眠い、それ以上も、以下もねぇよなぁ?」
「だったら、動いたらどうだ?誤解蛇さんは「たまには世の中に貢献したらどうだ?」とか言ってましたし、というか、動け。」
どう見ても嫌な顔に変貌していく、机にニ度立ち上がれないように打ち付けてやろうか。

「・・・っつ!?」
その時だった、地上で轟音が響いたのは。
「なんだぁ?楽しい事でもおこるのかぁ!?」
眼が輝いている、コイツは事件にしか興味が無いのか?

「この音、誤解蛇さんの部屋からだなぁ!!」
駆け足、行動が速いな、それを色んなところでやってもらいところだ。


「・・・エル、アイ、オー、エヌ何て読むんだ?エリアオーエヌ?」
そういって何処かで見たことのある動物を形どり、その名前をアルファベット印字してあるお菓子をつまんでいるのは白黒頭の蛇、誤解蛇呻奈である。

「何だこの音?」
轟音が近づいてきていることに気付いた。
「なっ!?」

同時にドアが開かれた。
「呻奈さんよぉ!どうした!」

だが、巻人と呻奈の間に天井を突き破った何者かが立っていた。
「んだぁ!?だれだ!!」
「それは、こっちの台詞だよ。」
黒パーカーの下に帽子というあるがありふれてはいない斬新かどうかも微妙な恰好をしている女がいた。

「アンタは・・・水無月!?」
「へぇ・・・覚えててくれたんだ!嬉しいね。」
「知り合いかぁ?」
「旧友よ。」

だがそれ以上に巻人は気になる所があった。
「お前・・・なんでその吹き出しを?」
夢現海と誤解蛇しか持っていないはずのそれを彼女は持っていたのだ。

「くくく、まさか教えてないのかい?」
「そんな必要は無さそうだったからな。」
「そっか・・・じゃあ1つ言っといてあげる、この吹き出しの力を使い始めたのは私と呻奈だけだったんだ、つまりお前らの方が後なんだよ。」
「な・・・に!?」

「そんなことを言いふらしに来たのか?」
誤解蛇さんが話を変えた、オレ的にはもっと聞きたかったんだが、仕方ねぇ・・・。

その言葉を聞くと表情が暗い笑いに変化していく。
「・・・呻奈さぁ?私とこの世界を統一してみない?」
「はぁ・・・!?」
馬鹿馬鹿しいといった顔をしている。

「世界が新しくなった今なら、みんな何をしたらいいか分からなくなっているでしょう?だからさ、今が好機なんだよ。」
淡々と言葉を繋げていく、だが誤解蛇さんの顔に笑み1つない。
「それで?統一した所でどうなるの?」
「決まっているだろう?全ての人気、コインを独占でk・・・」
「下らない、黙れ。」
キッパリと眼を見て答えた。
「!?」
驚いている、そんな話に乗ると思ったのだろうか。
「独占して何が楽しい?私は世界の安定は望むが・・・そんな下らない理由のために世界を敵に回すつもりはないわ。」
「そう・・じゃあ敵って訳ね。」
「1人で出来るとでも?」
「アンタが旧世界で起こした事件知っているよ、あの事件で分かったのだよ!十分に私1人でも戦えるってね!さらにはアンタの計画を邪魔した思念体どもは一切いない!」

「・・・。」
バツが悪そうな顔をしている、確かにあの事件では思念体がいなければオレ達の完全勝利だった。
「それにさ・・呻奈・。」

「私には一度も勝てたことないのにさ、調子に乗っちゃいけないよね。」

「くっ・・・。」
言い返さない、誤解蛇さんは事実を叩き付けられると大抵あぁなる、それなら。
「だったらよぉ!!オレがテメェを倒させてもらうぜぇ!」
鎖鎌を飛ばすも弾かれた、チィ。
「あー?勝てると思うなよ。」
「んだとぉ!!」

「一度下がれ、巻人・・。」
「!」
「よくわかってんじゃないか、まぁ、黙って見てなよ、世界を治めたら、また声をかけるよ、その時は良い返事を待っているよ。」
笑い声と共に天井の開けた穴へ飛び去っていった。

「どうしたんだよ、あんなに弱気になっちまってよぉ?まさか怖気づいたのかよぉ!?」
「くくく、怖気づく?まさか?」
さっきまでの不安を浮かべていた、顔はすでに暗黒微笑に変わっていた。
「今までのは、演技さ、ったく、アイツが今になって動き出すとは・・・。」
「?」

「信人!夢現海集合だ!作戦会議だ!」
「わかりました。」
特徴ある白黒帽子、夢現海信人が顔だけにゅっと壁から出てる、何してんだ。



「あー、暑いな、白さんは暑くないのか?」
「御飯、そればっかりじゃない、シャキッとせい!」

背中をぶっ叩かれると同時に背後から気配が。
「!?」
「っつ!?何だ!」
近くの建物の遥か上空に殺気を感じ、その元を辿ると・・・。
「お前は!?」
「あ、あの吹き出しは!!」

「前座にはちょうど良さそうだ。」
飛び降りこちらへ歩いてきた。
「なんだ?急に現われて?」
臨戦態勢に入る2人。
「お前ら、まさか私と戦うつもりか?」
「もちろん、売られた喧嘩は花を添えて返してやる。」
「言うね。」
彼女の手に大槍が現れた、それを軽々とこちらへ向けてきた。

「随分な物を持ってるみたいね。」
「やるか!」
片腕の筍を竹に成長させ!?
「遅いよ!」
「なっ!?」
と思っている間に竹をバラバラに切られていた。
「まずは1人目だ!」
真っ直ぐ迫ってくる、いつもこんな立場かよ!くっそぉ!



水無月に勝ったことが無いのは本当だ。」
少し小声になりながらも話した。
「なっ!」
「そうなんですか!?」
どよめく夢現海、まぁそうなるな。
「いつも割と完封負けだった。」
「そ、それじゃ勝ち目はやばいんじゃあ・・・。」
半分無い帽子を被った少女、夢現海消人慌てながらもがハッキリ言った。
「消人の言うとおりだ、切人も来ないし、どうするおつもりですか?」
「でも戦ったのは、サーバーを飲む前だから、今はどうなっているのか分からない。」
当然向こうも昔より強くなっているだろう、だがそれを踏まえても・・・。

「私が夢現海に頼むことはたった1つ、水無月を見つけて欲しい、そして見つけたら、私に伝えてほしい、アイツとは、私が戦わないと意味が無いんだ。」

「それさえわかりゃ!全力で挑みますよ!」
一番先に動いたのは、暑苦しいクマ男夢現海喧人だった。

「そうですね、」
続いて信人も動いた。

「いいねぇ、ぶっ潰す所見せてくださいやぁ!!」
巻人も外に出て行った。

「残りは待機、あと天井の修復をして」

「了解。」


「へぇ・・・時間を止めて避けたってところかい?」
槍の間合いから、咄嗟に時を止めて逃げたのである。
しかし、依然として油断できない状況が続いている。

「さて?これは一度引くのかい?」
片手の大槍を掲げ、挑発してきくる、だが敵の槍の威力はかなりの物の様だ、下手に煽りにのって戦えば何が起こるか分からない。
「引くわけ・・・ないよね?」
白さんが言ってきた、確かにコイツの目的は読めないし、こんな強力な奴を野放しにしておけば被害は少なくとも出るだろう。
「当たり前だろ。」
その言葉を聞いてお互いに臨戦態勢に入る。

「やる気か・・・!」
掲げていた槍を迷わずこちらに投げてきた。
「っぶない!!」
機敏な反応で白さんがオレを蹴り飛ばし、その反動で自分も跳んで回避すると後ろの建物に被弾した。
「マジかよ・・・。」
その建物がいともたやすく崩れ落ちていく、後で聞いた話だが、幸い中にはまだ住民は住んでいないらしい。

「ヤバいんじゃないの・・・これ。」
「さて?まだやる?」
そういう彼女の両手には一本ずつの大槍を持っていた。
「無限に出せるのかよ!」
勝てるか・・・?

「全力でブッ飛ばす!!!」
「は・・・?」
いきなり何かが高速で突進してきた、が槍にあっさりと弾かれてこっちへ飛んできた。

「っと、お前等はとっとと引きな、コイツは全力でヤバいぞ。」
「お前は聞いたぞ、夢現海だな!」
あの事件の後、今後あのようなことを繰り返させないため、一応首謀者と関係者を見ておいたので、コイツは知っている、信仰心の思念に倒されたらしい。
「そうだ!!だが説明している暇はない!早く下がれ!!」

「・・・夢現海風情が1人で勝てるとでも?」
殺気が数倍に膨れ上がっていくのが、見ているだけでも感じることが出来る。
「引こう、白さん。」
「え?」

「行かせるとでも?」
「行かせないとでも!?」
飛んできた大槍を夢現海がギリギリで弾く、ものの結構ダメージを喰らっていそうだ。
「早くしろ!」
「ったく!!」
急いで戦線離脱を図り、何とか抜け出せた。

「でも、どうするの御飯?」
走りながら会話している、止まれるほど余裕の距離ではない。
「一個しなければならないことがあるみたいだな・・・。」


「あの二人を逃がしたところで、どうするつもり?」
「さぁね?」
急に槍を踏み込んで振るってきた!
「がっ!?」
近くの建物に叩き付けられた、痛い。

「とっとと本気だしなよ、本気でこの世とおさらばしちゃうかもよ。」
あっさり言っているが、今全力で防いで、地面に踏ん張ったのだがあっさりと飛ばされたのだ、あんなに強いなら呻奈様に勝ったっていうのも本当かもしれない。

「はなから手加減する気なんてない!!」
吹き出しをかみ砕き、速攻で起き上がり、真っ直ぐ殴りかかるものの槍に防がれた。
「!?」
もう一本の槍を叩き付けられ軽く飛ばされた。
「へぇ・・・槍に亀裂を入れるとはね・・・少しは面白いかもね。」
「全力で・・・ブッ倒すって言っただろう!!」
合間無く、ラッシュを入れるが、全て防がれている、連続の攻撃は威力はかなり落ちる為、さっきの様に槍に傷を付けれるほどの威力は無い。

「!」
「油断したね・・・!」
槍が懐にはいり、大爆発を起こした。
「っく・・・。」
思わず、倒れ込む、何て威力だ。
「あーあぁ、これで終わりみたいだね。」
強い、半端ではない。

「王の元で親衛隊やってた方が良かったんじゃないの?」
「なっ!?」
何故コイツがそのことを知っている、オレが琴王王の護衛をしていたことを・・・・!

「ま、いいや、じゃあね!!」
大槍を真っ直ぐ飛ばしてきた・・・!?

「随分とやってくれるわねぇ!」

が、その槍は片腕で止められた。
「う、呻奈様・・・。」

「筍達が呼んでくれてね、それと夢現海に戦えと言った気は無いんだけどね。」
「すみません、食い止めておかないと何をするか分からないので・・・。」
「うん・・・ご苦労様。」
実際そうだ、コイツは一人で町1つ軽く落とせる、ほっておけば本当にこの辺りを征服してしまうだろう。

「ようやく、おでましかい?」
「そうね、ねぇ、水無月、この戦いに1つ昔通りのルールを付けない?」
「昔通り?」
「そう。」
1つ頷くと言葉をつづけた。
「真剣勝負で負けた方は勝った方の命令を聞かなければならない、っていう制約を。」
「・・・いいねぇ、じゃあ、私が勝ったら、呻奈、貴方は私の忠実な部下になってもらうわ。」
「私のは勝った後に発表するわ。」

お互いに臨戦態勢に入る、お互いに隙は見当たらない。

「そうだ、喧人、アジトの蛇部分呼んできて。」
「え?あ、はい。」
喧人が走り出した、瞬間、槍が飛んできた。
「真剣勝負だと何でもありだったよね?」
「そうだね!」
光線で槍を薙ぎ払った。
「前より強くなっているね!面白い!」

迷わず吹き出しをかみ砕く。
「早いな・・・もうか・・・」
竜巻が発生したと同時に、無数の槍が飛んできた。
「チィ、弾ききれない。」
数発掠めていくものの深い傷はない、だが後ろがみるみる焼野原になっていく。

「っつ!?」
槍に紛れて水無月が飛んできていた。
「流石に0距離なら回避できないよね?」
0距離で全力の槍投げを喰らい吹き飛ばされ、近くのビルを貫いて地面に叩き付けられた。
「くっ、今のままだと勝てるか分からないね。」

その上崩れたビルの瓦礫が上にのしかかかって来た、それを破砕光線で消し飛ばして這い出ていくと。
「おや?貴方・・・平気なのですか?」
声がした、その方向を向くと人の影が二つあった。
「どうしたのですか!セルラさん!」
「セルラ=グランギニョルとリザ=ネクストリアか・・・。」
「そうですが、それを言っているほど余裕なのですか?見事に腹部を貫かれていますよ。」
「え?」
見てみると本当に腹に槍が突き刺さっている、まぁ、この程度なら命に別状は無いのだが。
「どうってことはない。」
槍を抜いて木端微塵に砕き。

「そうだな、メイドの二人に頼みごとがある。」
「何でしょうか。」
「近隣住民の避難勧告を頼む。」
このままだと確実に巻き込まれる被害者がでる。
「・・・まぁ、今回は貴方の悪巧みでは無さそうですね、行きましょうリザさん。」
「大きい雀って美味しいのでしょうか!!」
「食べてはいけませんよ。」

「さてと・・・。」
「やっぱり、その程度じゃ倒せないか。」
「倒せると思って貰っちゃ困るわ。」
とはいえ、本気の水無月に今のままでは勝てないというのは、今の一瞬のやり取りでわかる。
「でも、実力差があるのは分かったよね?」
「降参しろと?」

黙って微笑んだ、どうやらそういうつもりらしい。
「あぁ、今のままじゃ勝てないね。」
「それじゃ・・・・ぁ?」
巨大な影が辺りを包んだ。

「全力で連れてきましたよ!!」
「ご苦労。」
「蛇部分か。」
「さて、ここからが本番何だけど?」

蛇が小さくなり、一体化した、圧倒的に力が増していく。
「ふーん、それが本気って訳か!!」
背後に回り大槍を撃ち込む、が。

「この羽は飾りじゃないのよ。」
背中の羽が巨大化して槍を包み込み粉砕した。
「破砕光線!!」
「しま・・・t」
世界を塗りつぶす光線が水無月を逃さずとらえた、あ、ビルをかなり破壊してしまった。

「さてと、これ位じゃ、倒せないだろうね。」
おそらく、光線を喰らったことを利用して、どこかに身を隠しているのだろう、隙を見せたら、多分槍の餌食になるだろう。
「どこにいる・・・?」
気配を検索する能力は今使えないのが悔やまれる、世界が移ったことで、今は使えないのだ。
 
「くっ!?」
地面から槍が矢継ぎ早に飛び出してくる、そうか、地面に潜っているのか!?とっさに近くの建物の上にワープして回避、あぁ町がボッコボコに。
「さて?何処にいる?・・・ん?」
建っている建物がどんどん崩落しているのに気付けなかった、足場が・・・!?

「しまっ・・・・!」
「かかったね!」
瓦礫の隙間と言う隙間から槍が飛んでくる、これを狙って建物の上に誘導したのか。
「ぐ・・・うぁ!っく!あぐぅ!」
とても避けきれない、槍が体を貫いていく。

「このまま押し切る!!」
槍の隙間にわずかに水無月の姿が見えた、さっきの破砕光線のダメージは負っている様だ。
「ふふ!見えれば!飛べる!!」
私のワープ能力は視界内の好きな所にワープできる、視界に入れれば!

「っつ!?」
目の前に飛び、腕に黒いオーラを纏わせる。
「破砕光線だけじゃないんだよ!私の技は!!」
そのまま黒いオーラを斬撃上に飛ばす。
「チ!」
槍を投げつけ相殺させる、だが、これだけ隙が出来れば十分だ。

「破砕こうs・・・っく!?」
「流石にノーダメージとは行かないようね!!」
さっきの全方位の槍攻撃で貫かれたところが痛み体勢が崩れたせいで、破砕光線の方向がブレ、掠った程度に威力が落ちた。
「くらいな!!」
槍を弾こうとしたが、槍に触れた瞬間その槍が大爆発。
「くぁ・・・。」
膝をついてしゃがみ込んでしまった、これは致命的な隙だ・・・。

「終わりよね、さぁ一緒に世界を・・・?」
そう、昔の私だったら、負けていただろう、昔の私ならば。
「破砕光線!巻!」
「そんな体勢で撃って当たるわけ・・・曲がった!?」
着弾した直後に煙の中から槍が大量に飛んできた、だが!
「破砕光線!消!」
槍に当たった瞬間、光線が炸裂し後続の槍が消し飛んだ。

「成程ねェ、まだ技を隠し持っていたとはね。」
「別に隠したわけじゃないわ、使わなかっただけ。」

「さて・・・お互いにもう長期戦は不可能だろうね・・、この一撃で終わらせようか?」
「面白い!これで終わりって訳ね。」

水無月の周りには大量の槍が舞いはじめ、呻奈の片腕には圧倒的なオーラを纏わせる。
「破砕光線!!!」
「破砕終槍!!!」




「へぇ、貴方〜〜〜って言うのね。」
「いや?今は誤解蛇呻奈、そう呼びなさい。」
「私相手に上目線とはいい度胸ね。」
「どっちが上だって?」
「あら?戦う気?」
「当然!」

「負け・・・た?」
「戦う前に言ったよね?真剣勝負の約束。」
「何を命令する気だよ。」
「それはね・・・。」

「貴方は私と違って、統率力が有りそうだから、部下を集めて最強のチームを作ってみなさい。」
「最強の・・・?」
「そう、共に戦う仲間をね。」
「・・・。」
「この世界は人の夢が容易く現れる、しかも海の様に広い、貴方なら見つけられると思うのだけど?もっとも出来ないとしてもやってもらうけどね。」
「面白い、やってやるわ。」




「今回は私の勝ちね、水無月。」
変身は解け、元の姿に戻った。
「まさか、その状態で破砕光線をそのまま撃ってくるとはね。」
呻奈の右腕には数本の槍が突き刺さっていた、呻奈は刺された状態のまま破砕光線を放ったのだ。
「しんどい事はしんどいんだよね、まぁ、出来ちゃったもんはしょうがないね。」
刺さった槍を抜き、水無月の目の前に刺す。

「さて・・・私の命令を聞いてもらおうか!」
「・・・そういう約束だからな、言って貰おうか。」
まだ、戦えないことも無かったが、右腕の怪我が少しづつ治っているのが見えて、長期戦になればこちらが圧倒的に敗北するのは目に見えていた。


〜数日後 復興の街〜
「・・・なぁ、呻奈・・・。」
「なに?」
「本当にこの命令なんだな?」
「もちろん。」

2人がいるのは、あの戦いの後に建てたある建物だ。
「・・・・なんでこんな命令なんだ。」
「悪いか?お前の人見知りを直そうと私なりに考えたんだけどね。」
あまり、知られていないが水無月は重度の人見知りで、いつも帽子とフードを被っている理由は人見知りを防ぐためだ、あれを取ると照れて、大概の人と話せなくなるのだ。

「だからってなぁ!なんでよりによって!プリン屋を開かないといけないんだよ!!」

そう、呻奈が命令したのは。
「私の街でプリン屋を営みなさい。」
「は・・・はぁ!!??」
というものだったのだ。

「あら?私は知っているのよ、水無月がプリンを作るのを得意ってこと位は。」
「な、何で知っている!?」
「あんなに楽しそうな水無月は初めて見たなー。」
「ぬぐぅ・・・!」
楽しげにプリンを作っていたことは事実、曲げられない事実。

「わ、分かったよ!やりゃいいんでしょ!やれば!!」
「そう、やればいいのよ。」
「・・・はぁ・・・。」
「〜♪」
対照的な態度を取る2人。

「それで、流石にそんな暗い服で接客は無理だから・・・。」
呻奈は店の中から、透明な袋に入っている何かを差し出してきた。
「これを着てやりなさい。」
「えっ・・・これ・・・?」
明らかに、おかしな配色が見えるんだけど、プリン王子

「大丈夫、帽子はあるよ。」
「・・・。」
そういう問題じゃあないけど、とりあえず着替えてみよう。

「・・・(-_-;)」
「どうした?その顔は・・・?」
「その顔もへったくれもない!!」
槍をまっすぐこちらへ向けてきた、何かきっかけがあれば真っ直ぐ飛んでくるだろうな。

「Tシャツエプロンとロングスカートはともかく!何で!全部プリンみたいなカラーリング!?ダサいよ!!デザインしたの誰よ!!」


「・・・その・・・私です。」

申し訳なさそうにいつもの白黒帽子を被った人がワープしてきた。
「信人・・・。」
少し憐れむような眼で見られているような気がする、というか槍をこっちに向けているような・・・。
「いいいいや、で、でですけど、呻奈様がプリンみたいな服のデザインにしろって!」
それを聞いて頷く呻奈、お前の差し金か、この格好は割と屈辱だ。
「そう、言ったわ、それと1つ、接客とか営業中は戦っちゃだめよ。」
「な!?」
「まぁ、強盗とかが来たときは何をしてもいいけどね。」

「破ったら・・・分かるよね(ニッコリ)」
「う・・・。」
さっき戦っている時は微塵も考えていなかったが、良く考えたら呻奈の奴はまだ吹き出しの力を使ってはいない、本気で戦ったら勝ち目は無かった、くそう、いつこんなに差が付いたんだ。

「まぁ、やってみなさい、1、2週間やってみな、まずはそれからだわ。」
「・・・この格好で数週間か・・・。」
とりあえずお店に入ってみよう。
「すみません、私がもっとスタイリッシュなデザインにしておけば・・・。」
「本当にそうだよ!作り直せな・・・・い・・・の?」
入ってみて驚愕した・・・。

「うん、どうした?」
「・・・。」
この制服が大量に積まれていた、いやTシャツだけか?
「スタンプシステムにしようと思ってさ、その商品にしようかと、大量に生産したのだけど、不都合が?」
もうここまで来たら笑うしかない。

「ああ、安心して水無月が着てる奴だけはオリジナルでちょっとデザインが違うから、差はあるよ。」
そっちはどうだっていい。
「まったく・・・。」
見渡してみると意外と広い、厨房もしっかりしている、これは思ったより本格的だ。

「随分しっかりとつくるのね。」
「ふふふ、私の部下達の建築スキルを舐めてもらっちゃ困るわ。」
部下、あぁ夢現海か。
「そういえば凄い面子を集めたものね、夢現海に。」
調べたら凄まじい経歴が多い、元、王族の直属の護衛部隊の隊長、元、悪魔の先鋭部隊の隊長、ある研究所で作られた感情を持つ殺人兵器の最高傑作と、普通に過ごしていればお互いに縁の無い様な奴らばかりである。

「ま、集まっちゃったもんはしょうがないね。」
それを束ねているも呻奈も呻奈で凄いんだけど。

「さて。」
机越しに立って、こっちを真っ直ぐ見て、言葉を続ける。
「作ってもらおうかな、第一号のプリンを。」
「は・・・?」
さも当然の如く言われたのだが。
「あぁ、材料ならそこに。」
「え?」
脇に大量の材料が積んであった、何人前出来るんだこれ。

「・・・分かったよ待ってな。」


〜数分後〜
「まだぁ・・・?」
正直前回の戦いのときから、体の回復に体力をかなり使ってしまったので、お腹が減っているのだ。
「待てや、まだオーブンも温まってない。」
「うむぅ・・・。」
机に顔を突っ伏し続けているのも悪い気がするけど、すきっ腹なのだ。

「呻奈様、隣のお店から苺エクレア買ってきました。」
「ふぉう!信人!良くやった!」
良くやった、本当に。
「うめぇなぁ。」

〜更に数十分後〜

「ほら、出来たぞ・・・って、おい?エクレアどんだけ食べてるんだ?えぇ?」
空き袋まみれなのにイラッと来た、思わず両方のほっぺたを引っ張る水無月
「むにぃー、らっておいひいんらもの。」
「作らせておいて、その態度は何だ?」
更に引っ張る。
「むー、とれる、とれるー。」

「ったく、でも食べるだろう?」
「もちろんだわ。」
解放すると一瞬でキリっとした、何だこのはや変わり様は。

出来たプリンを食べる呻奈。
「・・・美味しい、これ美味しいよ!」
「そ、そうか・・・////」

「うへぇ・・・美味しい、やっぱり甘い物は良いなー、もっと食べたいー!」
早くも食べ終わっていた、エプロンを引っ張ってくる。
「何か、あれだな、幼児退行してないか?」
「はっ!?いや、もうプリンがないのかい?」

「漢字、漢字。」
「うぬぬ、ゴホン、えっとプリンを頂けるかい?」
「ほい。」
新しいのを机に並べる、10個位。

「うわーいぃ!!」
片っ端から食べ始める呻奈。

「・・・。」
水無月さん・・・・」
「何だ?〜っと違う今は信人だったか。」
「えぇ、そうです、えっと、呻奈様なんですが・・・。」
「?」
「実は旧サーバーを二つも吸収した影響で、その、多分、精神年齢が幼くなってしまっているようなのです。」

「きゅ、旧サーバー!?そんなもん喰ってたのかよ!」
それならあの力も頷ける、そして旧サーバー時代にはまだまだ幼い子供のメモラーが多かった、そのせいか。
「でもまだ、そういうの減ったわけじゃ・・・。」
「あぁ、減ってないな。」

丸コピーしかしない奴や、写した、録音しただけな奴がまだいるのも否定は出来ない。
「もっと、た〜べた〜い!!」
またエプロンを引っ張ってきた。
「ったく、やれやれ・・・。」

だけど・・・まぁ、まだ世界は回り始めたばかりだ、これからどうなっていくのか・・・。
「見させてもらおうって魂胆かい?」
「うわっぉ!?」
「呻奈様。」
「面白い、住居もこのプリン屋に併設してある、好きに住め。」
心を読まれた?
「心は読んでないが、何となく水無月が〆ようとしていた気がしたからね。」

「落ちはさせないよ。」
「何ていうメタを・・・。」

「働きに期待してるわ、水無月。」
「・・・はいはい。」
プリン屋 プリン王子ここに開店。










「宣伝だったのかよ!?」
「そうみたいですネ、喧人。」