〜胡瓜の戦番外編〜 お蛇と街。

注意!
 このお話は前回のお話の続きの様なものです、微妙に。
 
 他の方のキャラを出そうかと考えましたが、色々な都合所、ちょっとしか出せませんでした、ゴメンナサイ、すみません。

 キャラが定まってないのは、私のせいです、みんなごめんね。




まぁ、そんな感じで、始まります。




















 ここは復興の街、名前募集中なのは秘密だ!
そしてその地下に存在する夢現海、もとい誤解蛇のいる、アジト、今回は良からぬことが起こる様だ・・・。

「ったくよぉ・・・ネミィナァ・・・。」
ダルそうに机に突っ伏しているのは夢現海随一の外道、夢現海巻人である。

「眠いのはお前だけだ、他の奴は働いているんだぞ?」
そう諭すのは、悪魔という設定が出てきているのに外道じゃない夢現海先人である。

「眠いもんは、眠い、それ以上も、以下もねぇよなぁ?」
「だったら、動いたらどうだ?誤解蛇さんは「たまには世の中に貢献したらどうだ?」とか言ってましたし、というか、動け。」
どう見ても嫌な顔に変貌していく、机にニ度立ち上がれないように打ち付けてやろうか。

「・・・っつ!?」
その時だった、地上で轟音が響いたのは。
「なんだぁ?楽しい事でもおこるのかぁ!?」
眼が輝いている、コイツは事件にしか興味が無いのか?

「この音、誤解蛇さんの部屋からだなぁ!!」
駆け足、行動が速いな、それを色んなところでやってもらいところだ。


「・・・エル、アイ、オー、エヌ何て読むんだ?エリアオーエヌ?」
そういって何処かで見たことのある動物を形どり、その名前をアルファベット印字してあるお菓子をつまんでいるのは白黒頭の蛇、誤解蛇呻奈である。

「何だこの音?」
轟音が近づいてきていることに気付いた。
「なっ!?」

同時にドアが開かれた。
「呻奈さんよぉ!どうした!」

だが、巻人と呻奈の間に天井を突き破った何者かが立っていた。
「んだぁ!?だれだ!!」
「それは、こっちの台詞だよ。」
黒パーカーの下に帽子というあるがありふれてはいない斬新かどうかも微妙な恰好をしている女がいた。

「アンタは・・・水無月!?」
「へぇ・・・覚えててくれたんだ!嬉しいね。」
「知り合いかぁ?」
「旧友よ。」

だがそれ以上に巻人は気になる所があった。
「お前・・・なんでその吹き出しを?」
夢現海と誤解蛇しか持っていないはずのそれを彼女は持っていたのだ。

「くくく、まさか教えてないのかい?」
「そんな必要は無さそうだったからな。」
「そっか・・・じゃあ1つ言っといてあげる、この吹き出しの力を使い始めたのは私と呻奈だけだったんだ、つまりお前らの方が後なんだよ。」
「な・・・に!?」

「そんなことを言いふらしに来たのか?」
誤解蛇さんが話を変えた、オレ的にはもっと聞きたかったんだが、仕方ねぇ・・・。

その言葉を聞くと表情が暗い笑いに変化していく。
「・・・呻奈さぁ?私とこの世界を統一してみない?」
「はぁ・・・!?」
馬鹿馬鹿しいといった顔をしている。

「世界が新しくなった今なら、みんな何をしたらいいか分からなくなっているでしょう?だからさ、今が好機なんだよ。」
淡々と言葉を繋げていく、だが誤解蛇さんの顔に笑み1つない。
「それで?統一した所でどうなるの?」
「決まっているだろう?全ての人気、コインを独占でk・・・」
「下らない、黙れ。」
キッパリと眼を見て答えた。
「!?」
驚いている、そんな話に乗ると思ったのだろうか。
「独占して何が楽しい?私は世界の安定は望むが・・・そんな下らない理由のために世界を敵に回すつもりはないわ。」
「そう・・じゃあ敵って訳ね。」
「1人で出来るとでも?」
「アンタが旧世界で起こした事件知っているよ、あの事件で分かったのだよ!十分に私1人でも戦えるってね!さらにはアンタの計画を邪魔した思念体どもは一切いない!」

「・・・。」
バツが悪そうな顔をしている、確かにあの事件では思念体がいなければオレ達の完全勝利だった。
「それにさ・・呻奈・。」

「私には一度も勝てたことないのにさ、調子に乗っちゃいけないよね。」

「くっ・・・。」
言い返さない、誤解蛇さんは事実を叩き付けられると大抵あぁなる、それなら。
「だったらよぉ!!オレがテメェを倒させてもらうぜぇ!」
鎖鎌を飛ばすも弾かれた、チィ。
「あー?勝てると思うなよ。」
「んだとぉ!!」

「一度下がれ、巻人・・。」
「!」
「よくわかってんじゃないか、まぁ、黙って見てなよ、世界を治めたら、また声をかけるよ、その時は良い返事を待っているよ。」
笑い声と共に天井の開けた穴へ飛び去っていった。

「どうしたんだよ、あんなに弱気になっちまってよぉ?まさか怖気づいたのかよぉ!?」
「くくく、怖気づく?まさか?」
さっきまでの不安を浮かべていた、顔はすでに暗黒微笑に変わっていた。
「今までのは、演技さ、ったく、アイツが今になって動き出すとは・・・。」
「?」

「信人!夢現海集合だ!作戦会議だ!」
「わかりました。」
特徴ある白黒帽子、夢現海信人が顔だけにゅっと壁から出てる、何してんだ。



「あー、暑いな、白さんは暑くないのか?」
「御飯、そればっかりじゃない、シャキッとせい!」

背中をぶっ叩かれると同時に背後から気配が。
「!?」
「っつ!?何だ!」
近くの建物の遥か上空に殺気を感じ、その元を辿ると・・・。
「お前は!?」
「あ、あの吹き出しは!!」

「前座にはちょうど良さそうだ。」
飛び降りこちらへ歩いてきた。
「なんだ?急に現われて?」
臨戦態勢に入る2人。
「お前ら、まさか私と戦うつもりか?」
「もちろん、売られた喧嘩は花を添えて返してやる。」
「言うね。」
彼女の手に大槍が現れた、それを軽々とこちらへ向けてきた。

「随分な物を持ってるみたいね。」
「やるか!」
片腕の筍を竹に成長させ!?
「遅いよ!」
「なっ!?」
と思っている間に竹をバラバラに切られていた。
「まずは1人目だ!」
真っ直ぐ迫ってくる、いつもこんな立場かよ!くっそぉ!



水無月に勝ったことが無いのは本当だ。」
少し小声になりながらも話した。
「なっ!」
「そうなんですか!?」
どよめく夢現海、まぁそうなるな。
「いつも割と完封負けだった。」
「そ、それじゃ勝ち目はやばいんじゃあ・・・。」
半分無い帽子を被った少女、夢現海消人慌てながらもがハッキリ言った。
「消人の言うとおりだ、切人も来ないし、どうするおつもりですか?」
「でも戦ったのは、サーバーを飲む前だから、今はどうなっているのか分からない。」
当然向こうも昔より強くなっているだろう、だがそれを踏まえても・・・。

「私が夢現海に頼むことはたった1つ、水無月を見つけて欲しい、そして見つけたら、私に伝えてほしい、アイツとは、私が戦わないと意味が無いんだ。」

「それさえわかりゃ!全力で挑みますよ!」
一番先に動いたのは、暑苦しいクマ男夢現海喧人だった。

「そうですね、」
続いて信人も動いた。

「いいねぇ、ぶっ潰す所見せてくださいやぁ!!」
巻人も外に出て行った。

「残りは待機、あと天井の修復をして」

「了解。」


「へぇ・・・時間を止めて避けたってところかい?」
槍の間合いから、咄嗟に時を止めて逃げたのである。
しかし、依然として油断できない状況が続いている。

「さて?これは一度引くのかい?」
片手の大槍を掲げ、挑発してきくる、だが敵の槍の威力はかなりの物の様だ、下手に煽りにのって戦えば何が起こるか分からない。
「引くわけ・・・ないよね?」
白さんが言ってきた、確かにコイツの目的は読めないし、こんな強力な奴を野放しにしておけば被害は少なくとも出るだろう。
「当たり前だろ。」
その言葉を聞いてお互いに臨戦態勢に入る。

「やる気か・・・!」
掲げていた槍を迷わずこちらに投げてきた。
「っぶない!!」
機敏な反応で白さんがオレを蹴り飛ばし、その反動で自分も跳んで回避すると後ろの建物に被弾した。
「マジかよ・・・。」
その建物がいともたやすく崩れ落ちていく、後で聞いた話だが、幸い中にはまだ住民は住んでいないらしい。

「ヤバいんじゃないの・・・これ。」
「さて?まだやる?」
そういう彼女の両手には一本ずつの大槍を持っていた。
「無限に出せるのかよ!」
勝てるか・・・?

「全力でブッ飛ばす!!!」
「は・・・?」
いきなり何かが高速で突進してきた、が槍にあっさりと弾かれてこっちへ飛んできた。

「っと、お前等はとっとと引きな、コイツは全力でヤバいぞ。」
「お前は聞いたぞ、夢現海だな!」
あの事件の後、今後あのようなことを繰り返させないため、一応首謀者と関係者を見ておいたので、コイツは知っている、信仰心の思念に倒されたらしい。
「そうだ!!だが説明している暇はない!早く下がれ!!」

「・・・夢現海風情が1人で勝てるとでも?」
殺気が数倍に膨れ上がっていくのが、見ているだけでも感じることが出来る。
「引こう、白さん。」
「え?」

「行かせるとでも?」
「行かせないとでも!?」
飛んできた大槍を夢現海がギリギリで弾く、ものの結構ダメージを喰らっていそうだ。
「早くしろ!」
「ったく!!」
急いで戦線離脱を図り、何とか抜け出せた。

「でも、どうするの御飯?」
走りながら会話している、止まれるほど余裕の距離ではない。
「一個しなければならないことがあるみたいだな・・・。」


「あの二人を逃がしたところで、どうするつもり?」
「さぁね?」
急に槍を踏み込んで振るってきた!
「がっ!?」
近くの建物に叩き付けられた、痛い。

「とっとと本気だしなよ、本気でこの世とおさらばしちゃうかもよ。」
あっさり言っているが、今全力で防いで、地面に踏ん張ったのだがあっさりと飛ばされたのだ、あんなに強いなら呻奈様に勝ったっていうのも本当かもしれない。

「はなから手加減する気なんてない!!」
吹き出しをかみ砕き、速攻で起き上がり、真っ直ぐ殴りかかるものの槍に防がれた。
「!?」
もう一本の槍を叩き付けられ軽く飛ばされた。
「へぇ・・・槍に亀裂を入れるとはね・・・少しは面白いかもね。」
「全力で・・・ブッ倒すって言っただろう!!」
合間無く、ラッシュを入れるが、全て防がれている、連続の攻撃は威力はかなり落ちる為、さっきの様に槍に傷を付けれるほどの威力は無い。

「!」
「油断したね・・・!」
槍が懐にはいり、大爆発を起こした。
「っく・・・。」
思わず、倒れ込む、何て威力だ。
「あーあぁ、これで終わりみたいだね。」
強い、半端ではない。

「王の元で親衛隊やってた方が良かったんじゃないの?」
「なっ!?」
何故コイツがそのことを知っている、オレが琴王王の護衛をしていたことを・・・・!

「ま、いいや、じゃあね!!」
大槍を真っ直ぐ飛ばしてきた・・・!?

「随分とやってくれるわねぇ!」

が、その槍は片腕で止められた。
「う、呻奈様・・・。」

「筍達が呼んでくれてね、それと夢現海に戦えと言った気は無いんだけどね。」
「すみません、食い止めておかないと何をするか分からないので・・・。」
「うん・・・ご苦労様。」
実際そうだ、コイツは一人で町1つ軽く落とせる、ほっておけば本当にこの辺りを征服してしまうだろう。

「ようやく、おでましかい?」
「そうね、ねぇ、水無月、この戦いに1つ昔通りのルールを付けない?」
「昔通り?」
「そう。」
1つ頷くと言葉をつづけた。
「真剣勝負で負けた方は勝った方の命令を聞かなければならない、っていう制約を。」
「・・・いいねぇ、じゃあ、私が勝ったら、呻奈、貴方は私の忠実な部下になってもらうわ。」
「私のは勝った後に発表するわ。」

お互いに臨戦態勢に入る、お互いに隙は見当たらない。

「そうだ、喧人、アジトの蛇部分呼んできて。」
「え?あ、はい。」
喧人が走り出した、瞬間、槍が飛んできた。
「真剣勝負だと何でもありだったよね?」
「そうだね!」
光線で槍を薙ぎ払った。
「前より強くなっているね!面白い!」

迷わず吹き出しをかみ砕く。
「早いな・・・もうか・・・」
竜巻が発生したと同時に、無数の槍が飛んできた。
「チィ、弾ききれない。」
数発掠めていくものの深い傷はない、だが後ろがみるみる焼野原になっていく。

「っつ!?」
槍に紛れて水無月が飛んできていた。
「流石に0距離なら回避できないよね?」
0距離で全力の槍投げを喰らい吹き飛ばされ、近くのビルを貫いて地面に叩き付けられた。
「くっ、今のままだと勝てるか分からないね。」

その上崩れたビルの瓦礫が上にのしかかかって来た、それを破砕光線で消し飛ばして這い出ていくと。
「おや?貴方・・・平気なのですか?」
声がした、その方向を向くと人の影が二つあった。
「どうしたのですか!セルラさん!」
「セルラ=グランギニョルとリザ=ネクストリアか・・・。」
「そうですが、それを言っているほど余裕なのですか?見事に腹部を貫かれていますよ。」
「え?」
見てみると本当に腹に槍が突き刺さっている、まぁ、この程度なら命に別状は無いのだが。
「どうってことはない。」
槍を抜いて木端微塵に砕き。

「そうだな、メイドの二人に頼みごとがある。」
「何でしょうか。」
「近隣住民の避難勧告を頼む。」
このままだと確実に巻き込まれる被害者がでる。
「・・・まぁ、今回は貴方の悪巧みでは無さそうですね、行きましょうリザさん。」
「大きい雀って美味しいのでしょうか!!」
「食べてはいけませんよ。」

「さてと・・・。」
「やっぱり、その程度じゃ倒せないか。」
「倒せると思って貰っちゃ困るわ。」
とはいえ、本気の水無月に今のままでは勝てないというのは、今の一瞬のやり取りでわかる。
「でも、実力差があるのは分かったよね?」
「降参しろと?」

黙って微笑んだ、どうやらそういうつもりらしい。
「あぁ、今のままじゃ勝てないね。」
「それじゃ・・・・ぁ?」
巨大な影が辺りを包んだ。

「全力で連れてきましたよ!!」
「ご苦労。」
「蛇部分か。」
「さて、ここからが本番何だけど?」

蛇が小さくなり、一体化した、圧倒的に力が増していく。
「ふーん、それが本気って訳か!!」
背後に回り大槍を撃ち込む、が。

「この羽は飾りじゃないのよ。」
背中の羽が巨大化して槍を包み込み粉砕した。
「破砕光線!!」
「しま・・・t」
世界を塗りつぶす光線が水無月を逃さずとらえた、あ、ビルをかなり破壊してしまった。

「さてと、これ位じゃ、倒せないだろうね。」
おそらく、光線を喰らったことを利用して、どこかに身を隠しているのだろう、隙を見せたら、多分槍の餌食になるだろう。
「どこにいる・・・?」
気配を検索する能力は今使えないのが悔やまれる、世界が移ったことで、今は使えないのだ。
 
「くっ!?」
地面から槍が矢継ぎ早に飛び出してくる、そうか、地面に潜っているのか!?とっさに近くの建物の上にワープして回避、あぁ町がボッコボコに。
「さて?何処にいる?・・・ん?」
建っている建物がどんどん崩落しているのに気付けなかった、足場が・・・!?

「しまっ・・・・!」
「かかったね!」
瓦礫の隙間と言う隙間から槍が飛んでくる、これを狙って建物の上に誘導したのか。
「ぐ・・・うぁ!っく!あぐぅ!」
とても避けきれない、槍が体を貫いていく。

「このまま押し切る!!」
槍の隙間にわずかに水無月の姿が見えた、さっきの破砕光線のダメージは負っている様だ。
「ふふ!見えれば!飛べる!!」
私のワープ能力は視界内の好きな所にワープできる、視界に入れれば!

「っつ!?」
目の前に飛び、腕に黒いオーラを纏わせる。
「破砕光線だけじゃないんだよ!私の技は!!」
そのまま黒いオーラを斬撃上に飛ばす。
「チ!」
槍を投げつけ相殺させる、だが、これだけ隙が出来れば十分だ。

「破砕こうs・・・っく!?」
「流石にノーダメージとは行かないようね!!」
さっきの全方位の槍攻撃で貫かれたところが痛み体勢が崩れたせいで、破砕光線の方向がブレ、掠った程度に威力が落ちた。
「くらいな!!」
槍を弾こうとしたが、槍に触れた瞬間その槍が大爆発。
「くぁ・・・。」
膝をついてしゃがみ込んでしまった、これは致命的な隙だ・・・。

「終わりよね、さぁ一緒に世界を・・・?」
そう、昔の私だったら、負けていただろう、昔の私ならば。
「破砕光線!巻!」
「そんな体勢で撃って当たるわけ・・・曲がった!?」
着弾した直後に煙の中から槍が大量に飛んできた、だが!
「破砕光線!消!」
槍に当たった瞬間、光線が炸裂し後続の槍が消し飛んだ。

「成程ねェ、まだ技を隠し持っていたとはね。」
「別に隠したわけじゃないわ、使わなかっただけ。」

「さて・・・お互いにもう長期戦は不可能だろうね・・、この一撃で終わらせようか?」
「面白い!これで終わりって訳ね。」

水無月の周りには大量の槍が舞いはじめ、呻奈の片腕には圧倒的なオーラを纏わせる。
「破砕光線!!!」
「破砕終槍!!!」




「へぇ、貴方〜〜〜って言うのね。」
「いや?今は誤解蛇呻奈、そう呼びなさい。」
「私相手に上目線とはいい度胸ね。」
「どっちが上だって?」
「あら?戦う気?」
「当然!」

「負け・・・た?」
「戦う前に言ったよね?真剣勝負の約束。」
「何を命令する気だよ。」
「それはね・・・。」

「貴方は私と違って、統率力が有りそうだから、部下を集めて最強のチームを作ってみなさい。」
「最強の・・・?」
「そう、共に戦う仲間をね。」
「・・・。」
「この世界は人の夢が容易く現れる、しかも海の様に広い、貴方なら見つけられると思うのだけど?もっとも出来ないとしてもやってもらうけどね。」
「面白い、やってやるわ。」




「今回は私の勝ちね、水無月。」
変身は解け、元の姿に戻った。
「まさか、その状態で破砕光線をそのまま撃ってくるとはね。」
呻奈の右腕には数本の槍が突き刺さっていた、呻奈は刺された状態のまま破砕光線を放ったのだ。
「しんどい事はしんどいんだよね、まぁ、出来ちゃったもんはしょうがないね。」
刺さった槍を抜き、水無月の目の前に刺す。

「さて・・・私の命令を聞いてもらおうか!」
「・・・そういう約束だからな、言って貰おうか。」
まだ、戦えないことも無かったが、右腕の怪我が少しづつ治っているのが見えて、長期戦になればこちらが圧倒的に敗北するのは目に見えていた。


〜数日後 復興の街〜
「・・・なぁ、呻奈・・・。」
「なに?」
「本当にこの命令なんだな?」
「もちろん。」

2人がいるのは、あの戦いの後に建てたある建物だ。
「・・・・なんでこんな命令なんだ。」
「悪いか?お前の人見知りを直そうと私なりに考えたんだけどね。」
あまり、知られていないが水無月は重度の人見知りで、いつも帽子とフードを被っている理由は人見知りを防ぐためだ、あれを取ると照れて、大概の人と話せなくなるのだ。

「だからってなぁ!なんでよりによって!プリン屋を開かないといけないんだよ!!」

そう、呻奈が命令したのは。
「私の街でプリン屋を営みなさい。」
「は・・・はぁ!!??」
というものだったのだ。

「あら?私は知っているのよ、水無月がプリンを作るのを得意ってこと位は。」
「な、何で知っている!?」
「あんなに楽しそうな水無月は初めて見たなー。」
「ぬぐぅ・・・!」
楽しげにプリンを作っていたことは事実、曲げられない事実。

「わ、分かったよ!やりゃいいんでしょ!やれば!!」
「そう、やればいいのよ。」
「・・・はぁ・・・。」
「〜♪」
対照的な態度を取る2人。

「それで、流石にそんな暗い服で接客は無理だから・・・。」
呻奈は店の中から、透明な袋に入っている何かを差し出してきた。
「これを着てやりなさい。」
「えっ・・・これ・・・?」
明らかに、おかしな配色が見えるんだけど、プリン王子

「大丈夫、帽子はあるよ。」
「・・・。」
そういう問題じゃあないけど、とりあえず着替えてみよう。

「・・・(-_-;)」
「どうした?その顔は・・・?」
「その顔もへったくれもない!!」
槍をまっすぐこちらへ向けてきた、何かきっかけがあれば真っ直ぐ飛んでくるだろうな。

「Tシャツエプロンとロングスカートはともかく!何で!全部プリンみたいなカラーリング!?ダサいよ!!デザインしたの誰よ!!」


「・・・その・・・私です。」

申し訳なさそうにいつもの白黒帽子を被った人がワープしてきた。
「信人・・・。」
少し憐れむような眼で見られているような気がする、というか槍をこっちに向けているような・・・。
「いいいいや、で、でですけど、呻奈様がプリンみたいな服のデザインにしろって!」
それを聞いて頷く呻奈、お前の差し金か、この格好は割と屈辱だ。
「そう、言ったわ、それと1つ、接客とか営業中は戦っちゃだめよ。」
「な!?」
「まぁ、強盗とかが来たときは何をしてもいいけどね。」

「破ったら・・・分かるよね(ニッコリ)」
「う・・・。」
さっき戦っている時は微塵も考えていなかったが、良く考えたら呻奈の奴はまだ吹き出しの力を使ってはいない、本気で戦ったら勝ち目は無かった、くそう、いつこんなに差が付いたんだ。

「まぁ、やってみなさい、1、2週間やってみな、まずはそれからだわ。」
「・・・この格好で数週間か・・・。」
とりあえずお店に入ってみよう。
「すみません、私がもっとスタイリッシュなデザインにしておけば・・・。」
「本当にそうだよ!作り直せな・・・・い・・・の?」
入ってみて驚愕した・・・。

「うん、どうした?」
「・・・。」
この制服が大量に積まれていた、いやTシャツだけか?
「スタンプシステムにしようと思ってさ、その商品にしようかと、大量に生産したのだけど、不都合が?」
もうここまで来たら笑うしかない。

「ああ、安心して水無月が着てる奴だけはオリジナルでちょっとデザインが違うから、差はあるよ。」
そっちはどうだっていい。
「まったく・・・。」
見渡してみると意外と広い、厨房もしっかりしている、これは思ったより本格的だ。

「随分しっかりとつくるのね。」
「ふふふ、私の部下達の建築スキルを舐めてもらっちゃ困るわ。」
部下、あぁ夢現海か。
「そういえば凄い面子を集めたものね、夢現海に。」
調べたら凄まじい経歴が多い、元、王族の直属の護衛部隊の隊長、元、悪魔の先鋭部隊の隊長、ある研究所で作られた感情を持つ殺人兵器の最高傑作と、普通に過ごしていればお互いに縁の無い様な奴らばかりである。

「ま、集まっちゃったもんはしょうがないね。」
それを束ねているも呻奈も呻奈で凄いんだけど。

「さて。」
机越しに立って、こっちを真っ直ぐ見て、言葉を続ける。
「作ってもらおうかな、第一号のプリンを。」
「は・・・?」
さも当然の如く言われたのだが。
「あぁ、材料ならそこに。」
「え?」
脇に大量の材料が積んであった、何人前出来るんだこれ。

「・・・分かったよ待ってな。」


〜数分後〜
「まだぁ・・・?」
正直前回の戦いのときから、体の回復に体力をかなり使ってしまったので、お腹が減っているのだ。
「待てや、まだオーブンも温まってない。」
「うむぅ・・・。」
机に顔を突っ伏し続けているのも悪い気がするけど、すきっ腹なのだ。

「呻奈様、隣のお店から苺エクレア買ってきました。」
「ふぉう!信人!良くやった!」
良くやった、本当に。
「うめぇなぁ。」

〜更に数十分後〜

「ほら、出来たぞ・・・って、おい?エクレアどんだけ食べてるんだ?えぇ?」
空き袋まみれなのにイラッと来た、思わず両方のほっぺたを引っ張る水無月
「むにぃー、らっておいひいんらもの。」
「作らせておいて、その態度は何だ?」
更に引っ張る。
「むー、とれる、とれるー。」

「ったく、でも食べるだろう?」
「もちろんだわ。」
解放すると一瞬でキリっとした、何だこのはや変わり様は。

出来たプリンを食べる呻奈。
「・・・美味しい、これ美味しいよ!」
「そ、そうか・・・////」

「うへぇ・・・美味しい、やっぱり甘い物は良いなー、もっと食べたいー!」
早くも食べ終わっていた、エプロンを引っ張ってくる。
「何か、あれだな、幼児退行してないか?」
「はっ!?いや、もうプリンがないのかい?」

「漢字、漢字。」
「うぬぬ、ゴホン、えっとプリンを頂けるかい?」
「ほい。」
新しいのを机に並べる、10個位。

「うわーいぃ!!」
片っ端から食べ始める呻奈。

「・・・。」
水無月さん・・・・」
「何だ?〜っと違う今は信人だったか。」
「えぇ、そうです、えっと、呻奈様なんですが・・・。」
「?」
「実は旧サーバーを二つも吸収した影響で、その、多分、精神年齢が幼くなってしまっているようなのです。」

「きゅ、旧サーバー!?そんなもん喰ってたのかよ!」
それならあの力も頷ける、そして旧サーバー時代にはまだまだ幼い子供のメモラーが多かった、そのせいか。
「でもまだ、そういうの減ったわけじゃ・・・。」
「あぁ、減ってないな。」

丸コピーしかしない奴や、写した、録音しただけな奴がまだいるのも否定は出来ない。
「もっと、た〜べた〜い!!」
またエプロンを引っ張ってきた。
「ったく、やれやれ・・・。」

だけど・・・まぁ、まだ世界は回り始めたばかりだ、これからどうなっていくのか・・・。
「見させてもらおうって魂胆かい?」
「うわっぉ!?」
「呻奈様。」
「面白い、住居もこのプリン屋に併設してある、好きに住め。」
心を読まれた?
「心は読んでないが、何となく水無月が〆ようとしていた気がしたからね。」

「落ちはさせないよ。」
「何ていうメタを・・・。」

「働きに期待してるわ、水無月。」
「・・・はいはい。」
プリン屋 プリン王子ここに開店。










「宣伝だったのかよ!?」
「そうみたいですネ、喧人。」

重なる。

私が目覚めたのは小さな町の中、周りの人がこっちを見ている、私は何故ここにいるのだろう。

(なに、アレ。)
(脚がないわ。)
(人じゃないのか?)

口を開けている様子が無いのに言葉が入ってくる、まるで心を読んだように、どうやら私は心が読めるらしい。

(起きた!)
(ちくわ大明神)
(害はないのかしら。)

よくわからないことを考えている人もいたが、とりあえず、この町を出よう、正直疑念を抱かれ続けられてもこっちの気が滅入ってしまう。

(どこへ行くんだ?)
(浮いた!)
(襲いかかってこないのか?)

無視をして出て行く、心を読み続けてもロクなことは無さそうだ。












町外れまで来た、ここは何なのだろう、まぁいいや。

とりあえず昔のことを思い出そうとしても駄目だ、何も思い出せない、まるで脳だけ生まれたての様だ。

「おや?誰だ?そこにいるのは?」
「!?」

誰かいたのか、油断しきっていた。

振り返ると、手袋から白い紐が伸びた女の子がいた。

「おおーう?見ない顔だね、しかも脚がないね。」
「え??」
違和感を覚えた。
「どったの?」
心になにも思っていないのか、まったく、内心が読めない。

「うーん?ちょっと肌寒いのに、シャツ一枚って寒くない?」
「え・・・まぁ。」
確かに寒くない訳は無い、脚が無いとはいえ下に何も穿いてないし、上も二枚位しか着てないのは春先の気候では肌寒い。
「だったらさぁ、家においでよ!」
「良いのですか?私脚ないですし、得体が知れませんよ。」

自分でも何で脚が無いのかわからないのに、誰かの家に行って家族を戦慄させてもいけないのではないか、そんなことをふと思った。
「いいの、いいの!私一人暮らしだし!」
「は、はぁ。」
断れる空気では既に無かった、この子にとってはもう決定事項らしい。

「わわっ!」
急に手を引かれてバランスを崩しながらもついて行く、脚はないけれど。
「さぁ、let's go!」





「ここ?」
「そう!」
何というか、普通の一軒家である、普通が何かわからないけど。
「あがって!あがって!」
「では。」
足が無ければ靴も無いので、そのままあがる、リビングのような所に案内されたが、全て1人前しかなく本当に他の人が住んでいた様子は無い。
「あ、こっちきて!」
呼ばれた、何だろう。
「うーん?」
行ってみると凄く見られる、あぁ服がなんとやらのことかな。
「!!?」
いきなりシャツをめくられた、流石に恥ずかしい。
「な、な、なにを!」
「腰辺りはあるのね、じゃあスカート穿けるよ。」
「え?」
そういえば、どのへんまで無いのかわからなかった。
「うーんと、どれにしようかなー。」
「・・・。」
だからっていきなりあんなことをするとは、相変わらず何も考えていないし。

「あった!これがいいよ。!
渡してきた、スカートは白地に黒い稲妻マークがはいっていた。
「こう、ズビシッ!としてるじゃない!きっと似合うよ!」
「・・・は、はぁ。」
ベルトやらを勝手に巻き始めていた、どうやら着ることも決定事項らしい。


「ほら!似合うよ!可愛い!」
「え・・・。」
思わず言葉が漏れてしまった、素直にそんなこと言われたことがまだ無かったのだ。
「そ、そうですか?」
耳まで熱い、私は照れ屋なのかもしれない。

「さぁ、これで靴を履けば!アナタはぱっと見なんでもない!これで!アナタが何者か調べられるわ!」

え、そのためにこれを着たのだろうか、でも足元は隠れていて確かにぱっと見なんでもない!・・・様だ
「あ、そういえば自己紹介まだだったね!」
コホン、と一息つくと
「私は西崎 重、まぁ一人暮らしなのはキニスンナ!」
「は、はい・・・、私は・・・、私は?」
名前がわからない、なんて名前なんだ私。
「あら?名前わからないの?これは早く自分探しの旅にでないと!」
またもや手を強引に引かれ玄関へ。
「うーんと、えーと、」
玄関の棚をがたがたと探っている。
「あ、あった!ほらこれ!」
手の上には黒い靴が
「私の足に入らなくなっちゃて使わなくなった靴!まだ綺麗だし、アナタは大きさなんて関係ないよね!」
というと、私の足に靴を引っ掛けてきた、なんと引っ掛かった。











しかし、出たのはいいが、あっちいったりこっちいったり、一貫性がない、まさか迷っていないだろうか。
「あの。」
「うん、迷った。」
「え?」

「あー、まさかこんな入り組んでいるとはね〜。」
「ちょ、ちょっと・・・。」
思わず地面にへたり込んでしまった、もう気力の限界である、もう二時間近く歩いているのだ。(足がないので歩くといえるか微妙だか)
「まぁ、まぁ、あそこになんか建物があるからそこで道聞こうよ。」
「・・・!」
建物があるのか、それなら・・・!
「あ、あれ?」
浮かばない、どうやら疲れると足が無くとも動けなくなるらしい。
「私が抱えてくよ、よいしょっ!」
「ちょ、え?」
急に抱えられて何も言わない訳はない、というか、なんでこんな怪力なんだろう、脚は無くとも上半身の分の重みはあるはず。

「わぁーーー!?」
「あはあは!走ろうと主ってさ!」
まさか抱えられたまま、全力疾走されるとは思わない。
ただ、考えていることは相変わらず読めない、本当に何でだろう、本当になにも考えずにいるのだろうか?

真っ直ぐ扉に向かって走る、重。

「すみません!誰かいますか!!」
勢いよく扉をあけた、鍵は掛かってなかったようだ。

「誰だい?」
「お!人?」
声のするほうを見てみると、そこにいるのは人ではなく、丸い体にハチマキメガネの、よくわからんのがいる。

「うーん?何かようかい?」
「え?いや、道に迷っちゃってさまよってたら、ここが見えたんで。」

「あぁ、じゃあ、近くに街があるから道を教えてあげるよ。」
助かった、これでなんとかなりそうだ。

説明を聞いている重、私は近くにあった椅子に腰掛け丸い方の心を読んで、道を聞いていた。

どうも近くにうごメモ町とかいう、そこそこ大きな町があるという、そこに行ってみたらとのこと。

「うん、大体分かりました!ありがとうございます!」
「困ったときはお互い様だよ。」

「それじゃ!」
「え?!わうっー!」
またわたしを抱えて走りだす重、楽ではあるけど少し抵抗が。






「ここね、うごメモ町っていうのは。」
着いた、のだがなんだろう、発展している。
「よし、じゃあ!アナタの正体探しだ!」
「は、はい。」
そうだ、目的がブレる所だった、危ない。

「ん?見ない顔だな旅人か?。」
近くにいた何か細い人が話しかけてきた。
「まぁそんなところ。」
「そうか、まぁ、ゆっくりしていくといい。」
優しい人、本心からそう言ってる。
「ありがとうござい・・・あ!そうだ!」
「ん?どうした?」
「あの、足のない種族って知りません?」
「足の無い?幽霊じゃないなら1人こころあたりがあるな。」
幽霊はこの町だと普通なのか。
「向こうで図書館を経営している、性格は悪いが、理由もなく暴力はしないと思う。」
「そうですか、じゃあちょっと聞いてみますね!」
また、走りだす、あ、抱えられたままだ。

「あー、いたいた!先輩!なにしてたんスか?」
「いや、なんか、今後またあう気がしてな、あの抱えられている奴と。」
「?」






「ここか、図書館って。」
大きい、なんかすごい。
「あの、そろそろ降ろして頂いて平気です。」
「あ、あぁゴメン。」
降ろしてもらうものの、まだ疲労は抜けきっておらず、フラフラする。
「さぁ…入るよ!」

扉をゆっくりとあけると…

「お邪魔しまーす。」
薄暗いが図書館として良いのだろうか。

「あ!イハンらいきゃくだよ!らいきゃく!」
なんか、女の子がいた、足はある。
「あんまり、騒ぐな。」
なにかが本棚の後ろからぬーっと、出てきた。

「あ、足がない!」
「なんだ、いきなり出会い頭に。」
確かに足が無いし、足があるはずの所には私みたいな、霊体がある、髪は唐辛子みたいな色になってる。


「なに?オレの種族が何か…だと?」
「えぇ、それを今調べてるの。」
「!」
何かに気付いた様だ。
「ふむ…なるほど、奥の奴がオレと同じ“思念体”と言う訳か。」
え?私って思念体って言うのでしょうか?
「え?分かるの!?」
「何となくだが読める、まぁ性質まではわからんが。」
「性質?」
性質ってなんだろう。
「何だ?何も知らんのか。」
首を縦に振ると、心から馬鹿にされている、性格悪そう。
「…まぁ、いいか、思念体ってのは、どうもこの世界の想いや行動から生まれるみたいだ、詳しくはオレも知らないがな、そして生まれながらに何かしらの“性質”とやらがある、オレは“違反”の性質をもってるらしい、らしい。」
自信は無いのか、そうか私と同じ様に急に出現したのならそのことに自信は持てないだろう。
「他には“平和”だの“欲”だ“我慢”だ“信仰心”だとかいるが、オレは詳しく知りません。」
「そ、そうですか、じゃこの子の性質は?」
「知らん。」
即答だった。
「他の奴まで知ったことじゃない、知りたいなら勝手に調べろ。」
「ごもっとも。」



とりあえず図書館を後にした、なかなか有意義なことが聞けたと思う。
「性質ねぇ、なんか心当たりある?」
性質か、一つだけ引っかかっている単語がある。

「重複?」
「はい、それだけなぜか心の隅に引っかかっています。」
「じゃ、重複の思念って訳だ!」
重複の思念、すごくしっくりくる。

「それで心を読むなんて能力あったんだね!」




「…え?」
何を言っているのだろうか?言った記憶はないのだけど、なんで?
「だって私がアナタの心を読めるもん。」
「へ?」
そういえば、何度か会話に違和感があったような。

「私はね、私を対象にした、特殊な能力を跳ね返す能力があるみたいなんだよ!心を読む力なら、逆に読み返すみたいな感じで!」
なるほど、私が心を読もうとするたびに反対に読まれていた、というわけだったのか。


「なるほどな、それがお前の能力ということか?」
「!」
声のするほうには、さっき図書館にいた違反の思念体がいた。
「な、なんですか?」
「いや、ほかの奴は知ったことじゃないが、オレ自身のことを知るためには他の思念のことを知るのも必要だからな。」
「な、なるほど?」
そういうもの、なのか?
「なんで疑問系なんだか知らんが、まぁいい。」

「本当に心を読めているかテストしてやろう!」
「!?」
彼の心では真っ直ぐとこちらに星を飛ばしてきている。
(アイツが本当に心を読めるなら避けれるはず……!?)
「あ!?」
「へ?」
だが彼の撃とうとした星は真っ直ぐに彼に向かっていた。
「ぐぇっ!」
油断していたようで回避出来なかったみたいだ、星が直撃してのけ反りながら叫ぶ。
「…どうなっている!まるで技をそのまま盗られたみたいだ!」
「自分でも、よくわからないんですが。」
本当にそうなのだ、撃たれたくない、そう思ったところまでは覚えているのだが、イマイチどうしたのか覚えていない。

「凄い…の?」
重が言葉を漏らす、重の能力では心を読む能力以外を使えないようだ。
「わからない。」
自分でもなにがなんだか。
「…お前…。」
唐辛子みたいな思念が立ち上がった、殺気立って。
「ひぁっ!?」
「ゴゴゴゴ安心しろ怒ってないから。ゴゴゴゴ」
心を読む、(怒)(怒)(怒)(怒)(怒)いや、めっさ怒っとる。
というより自分の口で擬音つけてるのか。
「ただそこで棒立ちしていればいいのだよ。」
ヒィィィィィィィィィ。
「ちょっ、ちょっと!落ち着いて!」
「なにを言う、思念史上類を見ないほど落ち着いているではないか。」
重も見てわかるぐらい、怒ってるよね、これ。
無心で撃てば平気だろ、って考えていた、え?
「いや、ちょっ、ちょっと!」
次の瞬間無心の“違反さん”の手にはエネルギー体が発生していた。
「は か い だ ん」
「あ、」
「え、」

「キャャァァァァァ!」

空を舞った私と重、幸い直撃ではなく、爆風に吹き飛ばされたようだ。

「あ、やりすぎたー(棒)まぁいいや。」

近くの森の中に落下、木に見事に引っかかった、あるんですね、本当にこんなこと。

「いたた、平気?重?」
「まぁ、何とか、小傷だらけだけど。」
私もだ、小枝に体中を引っ掻かれてる。

「でも生きててヨカッター、あれまともに食らったら多分ただじゃすまないよ。」
私もそんな気がする、ワザとかはわからないけどあのエネルギー弾は私達の目の前の床に被弾したのだ。
「追ってこないよね?」
「た、多分来ない・・・さ。」

とりあえず、ずっと木と一体化している気もないので降りようとしたのだが。
「あ、あれ?」
枝に腕をとられて動けない。
「あれ、私も腕動かないや。」
見事に二人ともハマってしまったようだ。

「あれ?なんか引っかかってない!」
「え?どこですか?」

声がした、たーすーけーてー。

「あ、本当ですね、助けてあげてください。」
「キャハハ任された!」

「うわぁあぁ!?」
木を高速で蹴り始めた、揺れる!お肌に枝が食い込む!

「痛い!痛い!ちょ、ちょっと…!」
「あ。」
「どうしたのです?」
ストップと言おうとしたのだが…、あれ?視界が傾いてるような。

「キャハハ、折っちゃた。」
「え…。」

「あー!?」
「ウワワ!」

地面に叩きつけられると同時に枝が折れて、開放された、ただすんごく痛い。

「だ、大丈夫ですか?」
「何とかね、あ。」
「きゅう…。」

この時私は気を失っていたようです。

「キャハハ…ゴメン。」
「おーい?」
「あらあら。」



「…うん…。」
「あ、起きた?ピオネロ!」
「…はい?」
誰でしょう?ビオトープ
「えーっと、呼ぶ名前無さそうだから、適当に付けた!」
「適当ですか。」
「え?意味はあるけど、まぁ、いいじゃん。」
私の名前なのに…。
「これからはピオネロって呼ぶね!」
「…。」
こっちの思考は無視ですか、そうですか、でも。
「悪くないですね。」
「え?」
「ピオネロって名前。」
「でしょ!」
なんだか妙にしっくり来たので、自分でもそう名乗ろうか。
「じゃあ、私は今からピオネロです。」
「正式決定!やった、ってことは今日が誕生日だよね。」
そうなりますね。
「口ではなしてよ!はい!これ!」
「これは。」
大きな黒い帽子に、重と色違いの手袋?
「帽子は個性、手袋はお揃い!へへへ。」
「ふふ、そうですね。」
嫌な感じはしなかった、気がする。

「でね、ピオネロはさ、これからどうするの?」
「え?」
そうか、それは考えていなかった。
「どうしましょうか?」
「えー?聞く?」
「私にはどうすればいいのか思いつかないのですが。」
本心だ。
「うーん、そういえば近くにお屋敷があるらしいね、あそこなら住めるかも。」
「お屋敷?」
「うん、結構大きいのが。」
確かに大きいお屋敷ならば部屋が空いているかも。
「家にいさせてあげたいけど、完全に1人用の家だからねー、ごめんねー。」
「いえいえ。」
検討してくれただけで嬉しいですね。
「あ、そう?そう言って(?)思ってくれると助かるよ!」
「そうですか?」
「うん!そうだよ!じゃあその館までは一緒に行くよ!」
「ありがたいのですけど、迷わないですよね?」
「も、もちろん!!」
しかし前科一件。
「すぐ近くだし、平気!行こう!」
重が心を読めるのは私が読もうとした時だけみたいだ。
「ところで重ってその能力どう思ってるのですか?」
「?」
正直に聞きたいことを今聞いてしまおう。
「何も能力がない人達は力を欲しがります、でも持っている側の私は不安で怖くて仕方ないです。」
「…はっきり言っていい?」
「はい、もちろん。」
「ど う で も い い 」
「え?」
「能力が有ろうと無かろうとその人はその人だし、代わりはないよ、アナタも心が読めなくてもピオネロだよ。」
「読めなくても?」
「じゃあ、ピオネロ、アナタはもし私の能力が無くなったら嫌いになる?もし私が星を消す力があったら嫌いになる?」
「え?いや、そんなことは…。」
「そ、本当に大切な友になるってことは、能力や力、例え心を見透かす能力だったとしても関係ないの。」
「…。」
「そんなんで差別されたら私に言いな!そいつが理解するまで説得してやる!」
「ありがとう、重。」
「いや、お礼はいいよ、たって当然のことだもん。」
「それでも、です。」
「ひひひっ、じゃあ行こっか!」
面白い笑い方ですね。


「ここですか?」
「うん。」
確かに立派なお屋敷ではあるのだけど。
「住まわせて貰えるんでしょうか…。」
「確かに立派過ぎて逆に平気かわからなくなったね。」

「ん?なんだお前ら?」
(面倒だな、来客か。)
門番らしき人がきた、顔は帽子で隠れているけど、そして心では本音が出てる。
「ダメですよ、仕事は楽しまないと。」
「え?何?何?何のこと?」
(なに?うーん、やっぱり面倒そうだなぁ。)
「あの?責任者の方とお話できませんか?。」
「え?責任者?何で?」
(とっとと通せば寝れるかな?)
この人は余程この仕事が面倒なようだ。
「お願いします!」
(いいや、通しちゃえ。)
「いいよ、じゃあ、ステッラさん!来客です。」
「誰だ?…。」
「思念体と人みたいですけど。」
「ふぅん、まぁ通していいや。」
「あ、撮影係留守です!」
「いいよ、直に来させちゃってよ。」
中に入れたのはいいけど広い、中で普通に迷いそうだ。
「ここです。」
(やっと寝れるわぁ。)
「ありがとうございます、そしておやすみなさい。」
「え?あ、うん、どうも?」
首を傾げたまま、行ってしまった、心を読めるとは気付かなかったようだ。
「失礼します!」
「ちょっ、重さん!」
いきなりドアを開けないで下さい!
「やぁ。何のようだい?」
広い部屋だ、しかし、人は一人しかいない。
「あの、このお屋敷広いですよね。」
「あぁ、広いね、確かに広い。」
「なんでこんな広いの?」
「うーん?あんまりハッキリは分からないんだよね。」
完全に困り顔だ。
(理由聞いとけばよかったなぁ・・・。)
「あ、いえ、困っているのならいいですけど。」
「あぁ、そう?それで初めに残るようだけど、何のようだい?」
「え〜っと、あの、この子の住む部屋を1つもらえないかなぁって・・・。」
「部屋を1つ?いいよ。」
「あぁ、無料じゃ無理ならって・・・え?」
「いい、いい無料で、罪悪感が残るなら適当に家事とか掃除してくれればいいし。」
「そんな、あっさり。」
(あっはっは、心配してたけどそんなことならいいやー。)
「・・・。」
「じゃ、じゃあお願いします。」
「好きな空き部屋に住みな。」
「はい!ありがとうございます!!」

「でも広いですね・・・。」
「じゃあ一番端っこのここは?窓近いし。」
「うん、此処にします。」
「じゃあ!また会おうね!」
「はい。」














「あれから、ずっと過ごしていますけど特に嫌なことは一度ないですね。」
「いい家見つけたね。」
「・・・家ごと移動ってできるんでしょうか?」
「あぁ、新しい世界のこと?」
「思念体はどうもいけないらしいんですけど。」
「え・・・?」
「どうも思念体っていう存在自体が新世界にいけないらしいんです。」
「そ、そうなんだ・・・。」
「・・・。」
「・・・。」
「私はね・・・ピオネロ。」
「なんでしょう?」
「貴方に会えてよか・・・」
「いつか、また会いましょう?」
眼があった、泣きそうです、私も重も・・・。
「あ・・・うん!」
「ここで終わりじゃないですよ・・・きっと・。」
「そうだよね!」
「そうですよ。」

お互いの心を読まずとも言いたいことは分かった。
「「いつかまた!!」」


そしてまた、2人が出会うのは、もっと先のお話で。

現れる。

「・・・・。」
「うあ?」
体を起こすとそこは、荒れた街の裏通りだった、周りを見渡しても、人の気配はない。
「何だ、ここは、ゴーストタウンか?」
しばらく裏通りを進んでも、何もいない、壊れたビル荒んだ町並みしか視界には映らない、何があったんだここは。
 しばらく進むと自分に足はなく、浮いていることに気付いた、ついでに左手も実態が無い。
「なんだこりゃ、靴は引っかかっているみたいだけど、明らかに人の体じゃないね。」。
左手を振り回したり、足を振り回したりしてみる。
「あー、こりゃいい、普通の腕よりも融通が利きそうだ、足もスカートがバサバサうっさいのを除けば完璧だ。」
何故か落ち着かないので、近くに落ちていた、小さいバケツの蓋を被り更に先へ進んでいくと。


「!?」
殺気を感じた、急いで避けるも背後に気配が。
「チッ!」
左の袖が引きちぎられた、が、そっちに噛み切られて困るものは無い。
「化けモンか?」
「グガァ!」
人型を取ってはいるが、明らかに人ではない、全身がグロテスクだ、しかも言葉も通じなさそうだ。
「そうか!アンタがこの町がこんなになっている、理由だな。」
「グルグア!」
常に回避に徹しなければやられるという直観を信じて避け続けるものの、向こうがバテる様子は一向にない、このままだと私が避けられず倒されるのは眼に見えている、とはいえ反撃に移る暇がない。

「あぶなっ。」
頬を掠った、頬に液体の伝う感触、まずいこれは、自分がどんなことを出来るのか、全く分からない。
「しまっ!?」
一瞬考えた隙に、奴の蹴りが腹にまともに入ったと思うと、そこで意識が途絶えた。


「ゲホッ、ガハッ。」
目覚めると、町から真っ直ぐ私のところまで床がえぐれていた、そして体が半端ではなく痛い。
「生き・・・てんだ、・・私。」
破られた袖を見つつ呟く、そして悔しみも込み上げてくる。
「・・・くっ・・・・そー!」
「生きてる!?」
「!?」
人の気配、臨戦態勢に入ろうにも、体が上手く動かない、地面に這いつくばりながらも視線を上げると、眼を閉じた女の子が立っていた。
「・・・あん・・だ?誰・・だ、あんたは?」
オロオロしながら答える。
「え、えっと、傷、平気?」
「・・・平気に・・見え・・るかい?」
眼を閉じているように見えるのだが、こちらが見えているのだろうか。
「ごめんなさい、見えないんです、ですけど、血の匂いが結構します。」
「!」
気が付かなかったが服がくすんだ赤色をしている。
「ケッ・・・こん・・なエグイこと・・になってる・・とはね。」
「あ、あの、良かったらで良いのですけど、治療しましょうか?」
「いら・・んわ、じゃあ・・な。」
飛ぼうとしたのだ、だが上手く飛べずに地面にダイブしてしまった、まるで体が言うことを聞いてくれない。
「・・・ち・・くしょ・・・!」



「!?」
「あ、起きましたか?」
目覚めると、私はベッドで横になっていた。
「どうなっているか、簡潔に教えろ。」
「えっと、ばったり倒れてしまったので、私の家まで連れてきて、服を着替えさせて、元の服を洗ってます。」
そういえばさっきと服が違う。
「なるほど・・・まったく・・・助けなくていいって言ったよな?」
頼んだつもりはないし、助けられるならあそこでくたばった方がましだ。
「い、いえ、あの、その、実は、その傷の原因は私というか、その。」
「なに?」
あの化け物の関係者だったか、被害者を助けようとしたのか?だがコイツの第一声は確か「生きてる!」だったような。
「つまり、あの化け物の飼い主か何かか?」
「え!?いや、まぁそういわれれば、そうなんですが、厳密にいうと違うような。」
「ハッキリ言え!」
思わず叫んでしまった。
「え、そ、その信じてくれるなら、話しますけどぉ(泣)」
何で涙目なんだこいつは、どんだけ気弱なんだよ。
「信じてやるから、とっとと話しな。」
「あ、あの化け物は私の中にいます。」
「・・・。」
信じるといった手前、最後まで聞くが、一体何を言っているんだ?コイツは?
「そ、それで、私が目を開けると私の体を乗っ取って暴れまわるみたいなんです。」
「はぁ。」
だからコイツは一向に目を開けないのか?
「その状態であなたに会ってしまってこんな目に・・・。」
「つまり、あの化け物に乗っ取られたアンタが私を襲った、そういうこと?」
「はい・・・。」
まぁ、私も片手なしで足無しだから何とも言えないのだけど。
「あの、それで、服の片腕縫った方が良いですか?」
「いいよ別に、早く持って来い。」
部屋の外へと出て行った、おそらく私の服を取りに行ったのだろう。
それにしても、悔しさが込み上げてくる、戦ったのにボロ負けして、その上その戦った相手に治療されたのだ、悔しくないわけがない、目の前でデカい砂の城作られて「忙しいから、お前作ったんでいいよ♪」って言われて評価される位悔しいのだ。
「あ、あの、これ服です。」
綺麗に畳まれて帰ってきた、あの紅さはもう無い、それともう一つ持っていた。
「何だこれ?」
「じゃがバターです。」
じゃがバター?何故こんなものを?
「よ、よかったら食べて?」
「・・・パクッ。」
妙に美味そうに見えたので食べてしまった、まぁ毒が盛られていようが知ら・・・
「・・・美味い!!?」
「本当・・!?」
しまった、油断していた、こんなに美味いものなのか?この芋は?
「良かった、私それしか作れないの。」
「そうかよ、美味しかった。」
「へ?」
「何でもないわ!ところで1つ聞きたい。」
持ってきた服に着替えつつ話す。
「な、なんですか?」
「お前はその化け物との共存は良いと思っているのか?」


「そ、それは・・・。」
明らかに良くは思っていない。
「だったら、何とかしようとは思わないのか?」
「・・・グスッ。」
マジ泣きし始めた。
「お、おい?」
「わだし、だっで、・・・嫌だよ、でも、コイヅば・・わだしの意思とば関係なく定期的にあらわれるでば、町ををあらじで、みだぐもない殺戮ジョーを見ざせられて・・・。」
「・・・。」
コイツは・・・。
「えぐっ、ううぅ・・・。」


「分かったよ!私が何か解決策を探してやる。」
「え゛?」
なぜこんなことを言ったのかわからない、けど、そう思ったのだ、思ったのだから止める意味は無い。
「でぼぉ・・・。」
「いいから泣きやめ、お前は今、定期的って言ったよな?ってことは、次に暴走する時期が分かるんだな?」
「グスッ・・何となくは・・・。」
「次はいつだ?」
「一週間後の今位。」
「あん?そんな正確にわかんのか?」
「・・・もう百回以上暴走しているから、嫌でも覚えたわ。」
「そうか。」

幸いもう飛べそうなので部屋の窓に腰掛け、
「安心しな、次が最後だ、来週ここで待っていな。」
「あなたは一体・・・?」
自分でも分からなかった問い、しかし心の隅の言葉を解き放つ。
「表閖出、表現の思念さ。」





しかし、どうすればいいのか、全く分からない。
「とにかく、アイツをブッ飛ばせばいいのか?」
だが、この方法は最悪の結末も予想できる、奴を消すということは宿主である、アイツも一緒に消えてしまう危険性がある。
「手詰まり・・・か。」
「あら?お困りなのですか?」
「うん?」
まさか返事が返ってくるとは思わなかった。
「なんだ、お前は?」
「え、あ、私はルチア=サプレス、我慢の思念です。」
「思念?」
そういえば足が無い、私と同じだ。
「んで?何の用だ?」
「いえ、お困りならお話を聞こうかと。」
「・・・ほぅ?」
正直他人に頼るのは自分で許したくはないが、今は少しでも情報が欲しいところだ、このまま打つ手なしでアイツと戦うのは多分無理だ。
「?」
「ま。まぁ兎にも角にもだな・・・」
全てを話した、とにかく何でもいいから策を練るための情報が必要だった。
「なるほど・・・つまり、その子の中にいる怪物だけを倒したい、そういうことですね?」
「そういうことだ。」
「そうですね・・・。」
なにか考え込んでいる、もしかすると何かヒントが出てくるのかもしれない。
「この近くにプロト=フィロソフィアという方のラボがあるのですが、そこでならもしかするとなにか分かるかもしれません。」
「プロ?」
ラボがあるということは、科学者か・・・、確かに科学者ならこういったこと・・・、
「何だ貴様ら?私に何か用か?」
「!?」
後ろから急にあらわれた白衣の女、足は無いが発言からするにコイツがプロト=ソファ?
「あ、丁度よかったです、実は・・・。」



「なるほど、それで私が何か策を思い付かないか・・・と?」
「そうなんですよ・・・ね?」
「ま、まぁな、なんかあんのか?」
少し考えごとをしている、急にどっかに字とか書きださないだろうか。
「そうだな、いま丁度研究対象が無くて退屈していたところだ、なにか作ってやろう。」
「そうですか!良かったですね!」
「ていうか、口頭だけで平気なのか?」
口がドヤァに変化していく。
「私を誰だと思っている、世紀の大天才科学者、プロト=フィロソフィアだ!」
「・・・。」
このテンションについて行く気はない。
「明日、作戦を貴様に授けてやろう、明日また此処に来ることだな。」
そう言い残すと何処かへ飛んで行った、比喩じゃなく本当に。


「さてと、世話になったな、長前髪。」
「え?それ私のことですか?」
「じゃなー。」
「(  )ω‘ )ムシサレター」

「・・・」
夜になったがすることは無い、いや有るには有るのだ、自分の力の事である。
確かに何か策が有ったとしても、結局あの化け物にもう一度会わなければいけない可能性、つまりもう一度アイツと戦わねばならない可能性は十分にある。
そっと左腕を見る、霊体になっているので腕なのかは微妙だ、でも手の形になっているから、きっと腕なのだろう。
「・・・。」
なんとなく弾丸とか出ないかなとか思ったら。
「!?」
なんとなんと、出ました弾丸。
「出来んのかよ!?」
驚いた、まさか何となくでやったことが自分の能力のヒントになるとは。
いや?待て?これは物体にダメージは与えられるのだろうか。
しかしこれだけじゃ渡り合えないのは明白、今日は寝ずに能力も模索しよう。







「おや?どうしたやけに眠そうじゃないか?」
「ほっとけ・・・。」
眼の下にガッツリなクマ有るくせに、人の眠気の度合いまで気にスンナ。
「まぁいい、完成したぞ!この装置だ!」
「そう・・・ち?」
どうみても、カプセル薬です、はい。
「見た目はともかく、装置には違いまい?この装置をその化け物が弱った所で飲ませれば、ほぼ封印できたに等しい、というわけだ。」
「なるほ・・・は!?弱ったところ!?」
そうきたか。
「そうだが?そいつも生物なのだろう?それならば戦っていればガス欠になるのだろう?というかガス欠やら衰弱が来て強制解除になって、ソイツは平常心に戻っているのではないか?」
そうか、なるほどそれは一理有るが、しかしどの程度なのだろうか。
「おそらく、その化け物はもう力を回復し始めている、すでにそれを使っても効かない可能性はある、それ故に力を使い切ったところ、というわけだ。」
「つまりは、私がソイツとガス欠になるまで戦わなければいけないってことかよ。」
「その通り、よくわかっているではないか。優秀、優秀。」
まったく嬉しくない褒められ方も学んだところで、そろそろ寝よう。
「ったく、なんとかするよ、じゃあな!」
「結果は報告しろよ!」
「はいはい。」
研究者はそうだよな、結果欲しがるよな。






「面倒なことになりましたよ。」
「放っておけ、奴らに止められるならその程度というわけだ。」
「そういうものですか。」
「そうだ、信人、そういうものだ、有事の際の戦力にならない様な奴は要らないのだよ、それに・・・、もう十分すぎるほど彼女は働いたよ。」
「そうなんですか、了解。」




近くに空き家があったので屋根に登り、空を見る。
「・・・・・、晴れてんな、ま、これでも寝れるが。」
とにかく、次に起きたらまた能力について試してみよう。



「うむ・・?夜・・・か?」
昼に寝れば夜に起きるのは当然か、そういえば、ここ本当に空き家なのか?
表札には(西崎)と書いてあった。
「知らんな。」
というか、住んでようが、いまいがそれどころではないのだ。
「あの化け物と戦えるようにならないとな。」
1人で何処まで強くなれるかは分からない、でも負けられない、負けるわけにはいかないのだ。
「・・・。」
アイツの泣き顔が頭から離れない、赤の他人でどうだって良いはずなのに、あのじゃが芋のせいなのだろうか、きっとそうだ、もう一度アイツのじゃがバターが食べたいから、アイツを助けるんだ、私は。
鍛錬な日が過ぎ。





あっという間に約束の日の朝になってしまった。
「さてと・・・!」
気合を入れなおす、もしかしたら今日で私は・・、でも後悔はしない、自分で選んだ道なのだから止まるつもりもない。
「待ってろよ、化け物が・・・!」


寂れた街に着いた。すぐ入り口にアイツはいた。
「まさか、本当に来るなんて。」
「来ないとでも思ったのかい?」
そう思われていても仕方がない、小学生が素手でゴリラに挑んだ位、前回はボロ負けだったし。
「・・・あと数分で出てきます、逃げるならいm・・・」
「逃げるかよ馬鹿が!」
即答してやった。
「ふぇ!?」
「任せな!今日でその数奇な運命はお仕舞だ!」
「っ!」
目の前で急に倒れる、そういや名前聞いてない。


「うぐぐ、がぁ。」
ドンドン化け物染みた姿になっていく、だが化け物は一度見ているし、変身も予想通りだ。
「さてと。」
「ア゛?」
こちらを見た途端襲い掛かってきた!
「グルァ!」
真っ直ぐした突進を回避するものの、思ったよりも速い。
「前は体力ギリギリだったって、ところか?」
ラッシュを仕掛けてくるも、なんとか全部回避するものの、次の一手が真っ直ぐこちらに飛んでくる。
「前までの私と同じだと思うなよ!」
左腕からつらら型の刃をブッ飛ばす!
「ガァ!?」
被弾した、傷は出来ないが、ダメージは与えられる技なのだ、これは。
「この場合は最適かもな!」
肉体ではなく化け物自身へ届く一撃。
「ガルガガァ!!」
猪突猛進、まさにそれである。
「愚直だ!馬鹿が!」
回避しつもりだったが角が生え・・・
「チィ!」
肩を掠める一撃、うっすら服が濡れた感触、不味いな。
「まだ変身できるとは考えてなかったね。」
「ガァァァ!!」
両腕が刺々しくなっていく・・・、あんなの刺さったら、即終わりである。
また突進だが、さっきよりも破壊力はまったく違う。
「嘘だろ?」
近くのビルが沈んだのである、アイツの突っ込んだビルが。
「グァッァァ!」
「どうする・・・?」
さっきの技にしろ何にしろ、私は能力を連発できないのだ、力を使えば使うほど、左腕が縮むんで能力が使えなくなるようなのだ。
「っと、危ねぇ!」
僅かに掠っただけで分かる、当たればそこで・・・。
「ガワァ!!」
「休む時間は無いか・・・!」
がっつり攻めてくる、どんどん周り崩壊していくが、まぁ、もうこんな寂れた街ならいいか。
「っしょ!!」
もう一発確かに懐に入ったのが・・
「いっ!?」
カウンターのごとく懐から一撃が飛んできた、まともに喰らってぶっ飛んでしまった。
「ゲフッ、そんなことまで出来んのかよ。」
懐から腕が出てくるとは、しかも棘つき、腹がエグイが知らん、まだ戦える。
「ガウガウガアッ!!」
ったく、あとどんぐらい持ちこたえればいいんだよ。
「もう一発だ!」
また当たった、回避をする気は無さそうだ。
「ガウァ!!」
ともかく回避に専念、次喰らったら流石にヤバい。
どうにか、避けれているが、こっちの反応速度が明らかに落ちている、もらい過ぎたか。
「三連打ァ!」
全弾命中、したが怯む気配はない、自分に当てたときはかなり痛かったのだが、どうやら痛みを感じて止まるほどの知能はないようだ。
「グウァ!」
「舐めんな!」
姿を消す技も取得済みだ、さてくるか?
奴の技は空振り道路に穴を空ける。
「ぐぅ・・・。」
瓦礫が飛んでくる、バシバシ当たって地味に痛い。
「ガァ?」
「!」
こっちを見た、耳が良すぎるだろ・・・、こっちの一瞬のうめき声に反応するとか・・・。
いや?待てよ?
(これで!どうだ!)
近くの瓦礫を思いっきり投げ、近くのビルの窓を粉砕。
「ガァァ!!」
そっちに突進していく、馬鹿だ。
「!」
ビルを一瞬で粉々にした後こっちに来る!
そうか、瓦礫を投げた方に来たわけか。

「・・・・一か八か・・だ!」
「ガ?」
ステルスモードを解除。
「グギャヤギャオ!」
「来いよ!」
ギリギリまで引き付け。
「この技が駄目なら、もう知らん!」
左腕が輝く。
「この技は自分の半径10M位の物をぶっ壊す技だ!」
「グギュギャギュ!ギャ!」
流石に効いている・・・か?
「!?」
こっちに攻撃してきた、不味いこの能力発動中はまともに戦えない。
「クッソ!」
ギリギリでかわそうとするが、何発も被弾。
「グ・・・グギャァ・・・!」
「もう少しみたい・・・ね。」
アイツが弱っているのは分かる、しかしこれ以上私の体がもってくれるか分からないが。
「グルギャーーーーー!!」
真っ直ぐこっちに突進していくる、最後の力って感じか・・・。
「来いよ。」
体を考えれば避けれないのは確実、だったら。
「正面衝突だ!」
「ガァァァァァァ!」

「ゴクリ」
「ザクリッ!!」

口に装置が入った。
私の腹に奴の角も。


「な・・・なんで、そんなに私何かの為に?」

「さぁね?なんでだろうね?」
平常心に戻ったってことは効いたのだろう。
「まぁ、これで・・・アンタは・・・じゆ・・・う・ガハッ。」
「ちょ、ちょっと大丈夫!?」
「・・・。」
意識が朦朧としている。
「生きてよ!あなたが倒れたら意味がないよ!」
「・・・ァ。」
言葉が出ない、喰らい過ぎた。
「グスッ、眼を開けでよぉ!」
そこで私の意識は途絶えた。













「・・・うん?」
起きると、布団の中だった、前にいた家では無かったが。
「!?」
布団が半端ではなく湿っていると思ったら、あいつが布団の上に頭を置いて寝ている。
「ツっ・・。」
腹の痛みがさっきまでのは夢でも悪夢でも無かったと告げている。
「クァ・・・。」
腹を抑えてもう一度布団に戻る、完全に治ってない様だ。
「お、起きたかい?」
「!」
声の方へ頭を向けると。丸い、なんだコイツは、ハチマキにメガネ?何だこいつは、あ、二回目だ。
「正直驚いたよ、体貫かれたままで担ぎ込まれたときはね。」
「貫かれた・・・まま?」
ということは、角出たままだったのか?
「ま、なんとなく手術上手くいったから、良かったな。」
「アンタが手術をしたの・・・か?」
「まずかった?」
別に裸見られて恥ずかしいとかじゃなく、その、あの、何か胡瓜みたいな腕で手術をしたのか?
「・・・。」
「どうしたい?腕をジロジロ見て?」
「・・・何でもないよ。」
「感謝するなら、そっちの子だね、手術手伝った後にずっと看護していたから。」
「看護?」
「あぁ、アンタが丸々3日位寝たままだからな。」
「!?」
「流石にその子は二日目で力尽きたがね。」
「そうか・・。」
顔が真っ赤だ、泣きながら寝ている、心配・・・かけたな。
「起きたら言うよ、まだ傷治りきってないんだから寝ていな、生きられただけでも祝福もんだ。」
「お、おう。」
寝ろオーラがうっすら出ていたし、今の私にはまともに反論する元気はない。




「・・・。」

「あの!すみません!」
「ん?どうし・・・!?」
ボロボロの人?を抱えている。
「あの、ぞの、えっと、だすげて!」
「おい、落ち着・・・?」
よく見ると抱えている側の角が真っ直ぐお腹を貫いていた。
「え?どうなっている?」
「どにがく!ちりょ゛うを!」
「え、あぁ、分かった。」
「でぎるの?」
「まぁ、多少は・・・。」

ここには何故か難民がよく来る、この前は、迷子の二人組だったが、ずっと昔には医者?が来たこともあった、(不老不死の研究も成功させたのだよ!本人談)
その時の一宿一飯のお礼にと医療技術を教えて行ってくれたのだ。
「難しいなぁ。」
「この私の医療技術があれば、あと1時間で大型トラックに轢かれてくたばりかけの奴も助けられるようになる!」
「そ、そんなスゲーの!?」
「もちのロンだ!」

そんなこんなで医療スキルを得てしまったのだ、そこそこなLvまで。
「まさか、使う日が来るとはねぇ・・・。」
「よし、そうだな、角は刺したまま、そこに寝かせて。」
「は、はい。」
抜くと、一気に色々出てしまい、体へのショックが大きいらしい。
「さて、手伝ってもらうよ?」
「も、もちろんです。」


「成功・・・だな。」
「本当!」
「まぁ、後は本人が意識を戻すのを待つだけだな。」
「あ、ありがとうございます!」


「事情は聴かなくてもいっか。」
いつもそうしている、話したい奴が話せばいい。



「・・・うぅん、あ、意識戻りましたか?」
「うん、さっき戻ったよ。」
「本当に!?」

「ったく、騒がしい。」
「あ・・・・。」
「助けてなんて言ったきお・・・」
「よがっだーーー。」
いきなり抱きついてきた。
「私の為に犠牲になるなんて絶対に許されないんです。」
「何のはな、ふぐぉ。」
いあたたたたた。
「あんまり、強く抱くと、傷口痛むよ。」
「あ!すみません、つい、その、あれ、ノリで!」
「チーン。」
痛さでまた意識が。
「表閖さん!表閖さぁん!」
痛みを堪えつつ、1つ聞きたかったことを、聞いてみる。
「そ・・・そういや、アンタは何て名前なんだい?聞いて無かったね。」
「私・・・私は一口日目です。」
「ずいぶん奇天烈な名前だな、まぁいいや。」


「じゃがバター・・・。」
そうだ、大切なことを忘れるところだった。
「へ?」
「感謝してんなら、じゃがバター作って。」
この為に多分戦っていたのだから。
「う、うん、今作るよ!」
「じゃがいもなら、山とあるぞ使いな。」
「ありがとうございます!」


「使いなと言ったが・・。」
「・・・。」
目の前には山と積まれた、じゃが芋とバターが。
「はむっ、うん、美味いな。」
「そ、そう、よかった、厨房が広くて手間取っちゃったけど。」
「いや、だからってこんなに。」
「構わん、全部私が食べるよ。」
「え?」
「こんな、美味いもの残すのは嫌だからな。」
「表閖さん・・・。」
「出でいい、一口。」
「じゃあ、私も日目でお願いします。」
「そうか、日目、ハグッ。」

「また、作ってくれ。」
「はい、いつでも言ってくださいね。」

「もう、いいやこのじゃが芋入れてた。袋やるよ。」
「え、あ、ありがとうございます。」
「もぐむぐ。」
何か日目がこっちを見ている、何を考えている。
「えい。」
頭に袋を被せてきた・・・!
「なんだこのフィット感は!?」
「え、被れそうだなって思ってさ。」
そんな理由で、でもこれは・・・いい、持ち手が顔にかかるが直せばいいや。
「まぁ、ありがとな、これはずっと被るかな。」







「むぐっ、そんなことも有ったな。」
「はい、あの時はしんでしまうかと。」
「ハッキリ言ってくれるね、まぁサンズリバー手前だったのは事実だったけど。」
なにか向こう側が見えていたのかもしれない、覚えてないけど。
「でも本当に思念体って向こうに行けないの。」
「さぁねぇ。」
「消えちゃったら・・・私。」
泣きそうなほど不安な顔をして俯いている。
「・・・どうなろうが私は生き続けてみせるわ。」
「出・・・。」
「お前はアイツに連れて行ったもらえ、そしてそこで」

「すぐにじゃがバター作らせるから待ってな。」
「ぷっ、あははは、そうだね、そうだよね。」
「な、なんだよ真面目に決めたのに!」

「出っていつもそうだよね、なにかっていうとじゃがバターだよね。」
「あ?」
「本当のことは多分いつも誤魔化してるよね。」
「・・・アグッ。」

「・・・お前何でそんな勘良いんだよ。」

「・・・また会おう?」
「ふん・・・無論だ。」

そしてまた、2人が出会うのは、もっと先のお話で。

祝う!

「ふぁぁぁ・・・。」
目が覚めると知らない家の中だった。
「ふぇ?ここどこだ!」
ベットから飛び起きて、部屋の外に出ると、やっぱり知らない家だった。
「な、なにここ!あ、えっと?」
誰かいた・・・、な、なんだこの被り物は・・・。
「お、起きたのか。」
「悪魔!?」
「失敬な!この被り物は天使だ!」
「て、天使ぃ?」
耳尖ってるし、眼がなんか怖い・・・とても天使には見えない。
「な、なんだその眼は、まるで私が変なことを言ったみたいではないか!」
「えー、天使には見えないよー。」
「なぬ!?見えない!?むむむ、メダカが入った水槽を被ったやつはそれでいいんじゃないですか?とか言ってたのに・・・。」
メダカ被った人とは一体、というよりそれはテキトーに言っているようにしか思えない。
「と、とにかく、君は何なんだい?」
「へ?わっちが何か?」
あ、そういえば分からない。
「足が無いんだよ、うん。」
「え!?」
下を見ると、確かに足が無い!何てこった!霊体みたいな足はあるけど。
「え?気づいてなかったのかい?」
「ていうか、あなたは?」
「おお、そうか、私の自己紹介がまだだったね、私はテラ=バーサリー、テノムっていう科学者の助手兼メンテ係をしている。」
「メンテ係?」
「あぁ、テノムさんはサイボーグみたいなもんでな、時々第三者のメンテナンスがいるんだよ。」
「へぇ〜。」
サイボーグかぁ、カッコいいなぁ。
「まぁ・・・それはさておき、なんで研究所の前で寝てたんだい?」
「え?わっちそんなところで寝てたの?」
覚えてない、というか今より昔の記憶がまるで無い。
「あー?ひょっとして記憶喪失かなんか?」
「うーん、多分そうだと思う!」
覚えていないのだから、そうなんだ、多分。
「そうなると・・・うーん何か覚えてることとかないの?」
覚えていること・・・?
「あ、祝福!なんか祝福って気がする!」
「祝福?」
「祝福!」
なんでこの言葉なんだろう、わっちに関した大事な言葉なんだろうか・・・。
「祝福ねぇ、それだけじゃなんともなぁ。」
確かに、それだけじゃなんともできない、祝福で何だって感じになるね、そうだね、何か悲しいね。
「お?起きたのかぃあの幽霊みたいな子は、テラ?」
「お、おぅ、起きたぜ。」
「あ、テノムさん?」
多分さっき話題に出たテノムさんだろう、サイボーグ!!
「おぅ?なんで知ってんだ?」
「あ、私が教えた。」
「ま、良いけどな、そうそう、さっき隣の無人町で何か凄い崩落が有ったらしいよ。」
「隣町?あそこ、なんか寂れきってた気がするけどなぁ。」
何の話をしているんだろう。
「ビルは崩落、道路はクレーターとなんかエライことになってるらしい。」
「まぁ、見に行ってみるかな、来るかい?・・・えーと。」
そういえば、自分の名前・・・って?
「あぁ、そっか名前・・・うーん、じゃバーサリーでいいや。」
「自分の名前付けるってどうなのよ・・・(-_-;)」
「いいじゃん!バーサリーなんて呼んでくれる人もいないしー。」
「いいなら、別にいいけどね。」
あれ、なんかこっちには自分に名前を付ける権利が無い感じがないあれですか、そうなんですか。
「じゃあ、行ってみよう!バーサリー!」
「あいあい、行こう!」
もういいや、行こうっと、外に行ってみたいのは確かだし!



「ここか・・・。」
「うぇぇ・・。」
着いた・・・が確かに荒廃してるし、ビルがいくつか陥落している。
「ふむ、成程・・・何かが暴れたようだな。」
え?何かが・・・?
「そ、その何かって、ち、近くにいないよね?」
「さぁねぇ・・・何とも言えないけど、でもこの町に今生き物はいないらしいね、調査によると。」
「そ、そうなのか?」
少しは安心材料になるのだろうか。
「・・・。」
道路を見ている、そういえば何かシミみたいなのが・・・。
「・・・これは、これはなんとまぁ。」
「ど、どうしたの?」
「何かが襲われたのか?これはいわゆる血痕って奴だ。」
「結婚!?」
「まぁ、それは小説でしか伝わらんボケだな。」
そういえばくすみきった紅に見える。
「結構な量だ・・・下手をすれば・・・。」
「ヒッィィィ!?」
「まぁ、亡骸がないから平気だったんじゃない?」
そ、そうだよね。
「もしくは・・・。」
「え!?」
「・・・食べられちゃったとか!!!」
「ギャアアアアアアアアアアアアアア!!」
うつむいた状態から、急にガバっとこんなこと言われたらこうなるよね☆
「お、予想以上の反応だ。」
「お、驚かさないでよぉ・・・。」
「いや、ここまでクリーンヒットするとは、流石に考えなかったな。」
心臓に良くないのであんまりこんなことしないで欲しい。

「ふむ?中々暴れたようだな。」

「くぁwせdrftgyふじこlp;@!?」
誰もいないって言ったじゃないかぁ・・・。
「おや?誰だ?」
「お前らこそ何者だ?私は作った装置がしっかりと働いているか見に来ただけなのだが、少し遅かったようだな。」
「装置!?」
装置という言葉だけで、眼を輝かせている・・・気がする、被り物で顔見えないけど。
「私はテラ=バーサリー!科学者テノムの助手でコイツは私の助手のバーサリーだ!」
「え?わっちはいつからじょ・・むぐ!」
口を押えられた何で?
「それで!その装置というのは一体何なんでしょう!」
「気になるのかい?ふむ、確かに技術者というのは他の優れた技術に触れたくなるものだ、いいだろう教えてやる。」
「本当ですか!」
「むぐ、むご!」
離してくれない、何で?
「・・・そっちの思念体、バーサリーといったか、平気なのか?」
「思念体?」
「ん?違うのか?いやどうみても思念体だ。」
わっちは思念体というのなのか?
「ふーん、思念体ねぇ。」
「むぐ!ふぐう!」
いい加減手を離してほしい。
「まぁ、正直なんでもいいがな。」
「おう!装置のことを早く!」
「今回作った装置は簡単に言えば、力を周囲に拡散されることに重きを置いた小型装置でな、これをカプセル大に私の技術に固め、強力そうな寄生型の怪物でも抑えられる、そしてこの装置の素晴らしいところとしてはまず軽量化と使いやすさにあってだな、飲むだけで起動するように設定することで〜〜〜中略」
「ほぉ!ふむふむ」
全く分からないし、長すぎる。
「〜〜〜中略〜〜〜このシステムを改良すれば、外付けに変更して暴走状態を自分の意思でコントロールできるようなシステムも開発可能でありながら〜〜〜中略〜〜」
「ほぉ、重要なのはあのシステムか。」
「そうだ、このシステムを基盤とすることで〜〜〜中略〜〜〜」
技術者トークにまったくついて行ける気がしない・・・。
「さてと・・・、私はこれから結果を聞きに行くのだ、こんな所で油を売っている暇は無いのだよ、さらばだ同志よ!」
「おう、またいつか会おう!」
去って行った・・・、何だったんだ。
「ぶはぁ!」
やっと手が離れた。
「危ない!色々と!」
「お、平気だったか!」
平気じゃなかったらどうしたんだよ!!
「何話してたの?なんかやたら専門用語ばっかりだった気もするけど。」
「なんのことだ?普通の会話だろ?」
自覚がないのが一番面倒だけどね!!
「まぁ、とにかく、お前は思念体だったんだな。」
そうだ!重要なことを言ってたっけ、科学者トーーーークで完全に忘れかかっていたのだけど。
「Q、そうそう!思念体って何?」
「A、調整中」
「うぇ!?」
「いや、調べてもあんまり情報無いんだよ、数は急に増えてきたし、分からないことが多いし、誰か思念体について調査してくれるとありがたいんだがね、私はそういうの専門じゃないから。」
「なるほどぉ・・・。」
「ま、此処のことはさっきの思念体に任せて私等はちょっと思念体調べるか、せめて貴方のせいしつg・・・ん?」
「どったの?」
「あー、そっかそういうことか。」
「え?何々!?なにか分かったの?」
「さっきは思念体っていうのが頭に入ってないから何とも言えなかったけど、祝福ってアナタの性質なんじゃない?」
「せーしつ?」
何だろう。
「うん、思念体っていうのは必ず、何かしらこの世界にあふれる感情や行動などを具現したものっていうのらしくてね、それに関わった性質っていうのを必ず一つだけもってるらいのね。」
「わっちは、それが祝福なの?」
「他に考えられないし、そうじゃない?」
「やった!!わっちの秘密が一個解けた!!」
特大クラッカーを鳴らすわっち!めでたい!!
「どっからそのクラッカー持ってキタンダヨ。」
「え?なんか持ってたんだよ!」
「そ、そうか、しかし科学者として質量保存の法則を・・・。」
「いいじゃん!」いいじゃん!」
「う・・・ううむ。」
なにかよわよわしいのは気のせいだろうか。
「ああ、すまん、予想を超えると若干テンションが落ちるだけだ、気にするな。」
「あぁ!そうなの!」
「ともかく、この町に特に用は・・・」
「どったの?」
急に背後を見つめるテラ。
「いや・・・気のせいだ、研究所に戻ろう・・・。」
「う、うん?」
何だったんだろう・・・。







「あぶなーい、バレたのかと思ったー。」
「ソンナこと良いですから早く働いてくださイ。」
「うえーい、元人厳しいー。」
「黙って働いテ!消人!先人に怒られるヨ!」
「うへへ、そうだね。」
「ン?・・・いヤ?あの感ジ・・・。」
「どったの?」
「まァ、いいでス、今はこちらガ優先。」




「ふーん、それで?思念体だった訳だ。」
「そうなんですよ、はい。」
「そうそう!」
やっと一歩前進だメデテェ!
「思念体について何か情報無い?」
「思念体ねぇ・・・、あ、そういえばなんか思念体がいる教会があるとかなんとか、聞いたな、図書館経営してるやつもいるんだとか。」
「へー、行ってみよう!」
「うん、行ってみよう、私も気になるな、テノムは?」
「うーん、調べたいこともまだあるし、私は残るよ、2人で行っといで。」
「何かあったのかい?」
「えーと、まだ確証が掴めないし、まだまだ調査中だよ。」
「あ、そう、じゃ手伝うときが有ったら呼んで!」
「もちろん、呼ぶさ。」
何か信頼関係を感じたけど、同時に何か上下関係逆じゃないって気もした。
「さてと、出発!」
「うん!レッツゴー!」



「結構歩いたね。」
「そうだね、足無いんだけど!」
「あぁ、そっかそうだよねー。」
「さて、一個聞いていいかい?」
「なんですか?」
「教会ってどこ?」
「E?」
「ははは、場所を聞き忘れるとはな!」
「・・・。」
ノープランだったのか。

「キャハハ!お探しの教会はこっちだよ!」
「!?」
「ったく、なんでコイツと組ませられる上に布教活動させられるんだか。」
「目玉!?」
二人の何かがこっちに来た、片方には足が無い。
「あれ?ひょっとしなくとも思念?そっちの青眼玉。」
「誰がブルーアイズだ、俺だけじゃなくこいつも思念だ。」
「キャハハ、指さすなや。」
「え?足あるよね?」
思念体は足が無いのがデフォルトではないのか。
「コイツは稀有な例らしいな、他に全身有る奴は見たことがないな。」
よく見たら、髪が霊体になっている気がする。
「というか、この辺なのか教会ってのは?」
「キャハハ、全然違うよ!むしろ真逆。」
「えー!テラどうするの!?」
これでは、思念体について知るどころではない
「ところでお前ら、教会によからぬ理由で来ようとしてるんじゃないだろうな?」
青い目で睨まれる私達、布教活動なのに案内してくれないのか。
「え、いやいや、この子について知れたらなーって。」
「ソイツについて?」
ジロジロ見られている。
「なるほど?他の思念に会えば、なにかヒントが得られるかも、そういうことか?」
「そ、そうそう!」
「何だー、信教者じゃないのかー。」
どうやら教会関係者だが案内はしてくれない様だ。
「ガッカリされてもねぇ・・。」
「ゴメンね!」
「そういうことなら、俺たち以外に聞くんだな、俺たちはそういうことのためにぃ!?」
「うっせぇ、馬鹿!」
「!?」
青眼の方に赤髪のストレートが入った、これはヤバいんじゃないか?
「ぐ・・・、急になんだ。」
「なんか語られんのイヤ!」
「あ、じゃ、じゃあしつれーしまーす。」
あの拳は勘弁していただきたい。



「でもどうしようか?もう道迷った時点で万策尽きたけど?」
なんでやねん。
「なんか機械とかないの?道分かるようなの。」
「あ・・・そっか!」
被り物を探るテラ、どっかの青いキャットロボットみたいなことしてるな。
「あ、これは!?」
「テテテテン、金属探知機〜・・・って今いらんわ!」
「なに一人芝居してるの。」
「おう、ツッコミは冷静だな・・・。」
「でも、被り物とって探した方が良いんじゃないの?」
「あ、そうだな!」
被るものをとると普通の女の子だった!声も変成器みたなので変わってたみたい。
「あー、無いな〜。」
「そんな、色々入ってそうなのに・・・。」
頭が良い人は大抵どこか抜けているというが、それなのか?
「でも、何でそんな被り物してるの?」
「え?いやぁ、いろんな人に素顔見せんの恥ずかしいじゃん。」
「そんな理由で!?」
「その通り!悩みというのは他人から見れば、大概くだらないものなのだよ!」
さっきより声が高い所為なのか、可愛く見える。
「そっか!そうだよね!」
「な、なにを?」
肩を組むわっち。
「じゃあ、私の悩み、もっと明るく過ごしたいっていうのも分かってくれるよね!」
「ったく・・・、分かるよ、もちろん。」
むこうも肩を組んできた、うん、いいよねこういうの。
「さて!それじゃ!さっそく」
「なに?なにか良い考えでも?」
「・・・・いや、何にもないけどね!」
「ナイノカーイ!!」
ずっこけてしまった、だってまだこの辺どころか何にも知らないもん。
「ま、まぁいい、そういえばよいアイテムを持っていることを思い出した。」
「え!?なに?」
本当は有るんだ!
「じゃーん!じゃ、じゃーん!」
「おれベクt」
違う。
「これこれ、スポットサーチャ〜。」
「・・・ふぇ?なにそれ。」
マイクとレーダーみたいなのが一体化した機械を手に持っている。
「この道具は何と、探したいものをこのマイクに言うと、探してきてくれる優れものだ!」
「そんな便利なもの有ったのかい・・・!」
「ただねぇ・・・これ音声認識が甘いんだよねぇ、アナログ入力も付けときゃよかったよ。」
「とりあえず!やってみようよ。」
やってみないことには始まらない。

「まぁ、そうか、じゃあ試しに・・・、えーとテノムの研究所!!」

「・・・。」
レーダー画面に何か映っている。
「・・・なんで五か所もあるんだよ・・・!」
確かに五つ○が出てる。
「・・・でも!出たは出たよ!」
「これ、絶対的に検索しくじっている気がするのだが。」
「いいよ!だって何もないよりはいいじゃない!」
「まぁ・・・そうだがぁ・・・。」
テラの手からレーダーを取り、
「さぁ、案内したまえ!機械よ!」
レーダーに従い動く。
「こっちか!!」
「・・・こっちか?」
滝の中に表示が有る。
「いや、絶対的におかしいよな、そうだよね。」
「滝、この中に研究所が・・・。」
「無いよ!」
突っ込んでも、流されるだけかぁ。
「行ってみる?」
「いやいや!?おかしいよね!!」
「デデーン!次行こう!」
落ち込んでても仕方ないのだ .
「というか、目的ブレブレだな。」
「え?」
「思念体の調査に来たのに、結局家に帰るはめになるし、それにも苦戦して何と言うか・・。」
「馬鹿っぽいよね!!」
「ハッキリ言うか!!?」
だって隠しても嫌じゃない。
「・・・」。
「あ・・・。」
「どうした?」
「あれ!」
「?あ・・・。」
何と研究所に着いた。
「ったく・・・レーダーを貸せ。」
「あ、はい。」
素直に返そう、うん。
「他の地点はどうなっているか見てくる。」
「え?」
何でだろう。
「それを見れば何て検索されたか、わかりそうだしね。」
「あ、そっか!」
そうだね!そういうのが気になりそうだね!科学者は。
「じゃ、ここで待ってな、見終わったら帰ってくるから。」
「あいあい!いってらっしゃい!」
「じゃあ、ちょっと待っててな〜。」
「はーい。」
さて、これからどうしようか、とりあえずテノムさんと話そうかな。
「お邪魔しまーす!」


「・・・あれ?」
すんなり入れたが返事がない・・・
「うーん?」
家中探すが、テノムさんが見当たらない。
「ここかなぁ・・・。」
冷蔵庫の中にもいない、一体どこに行ってしまったのだろう。
「テノムさ〜ん!」
「なんだい?」
「え・・・。」
何か違和感、あ、足元に穴があいて・・・足無いけど。


「わぁぁぁ!?」
浮いているとはいえ、ある程度の高さを決めて飛んでいるので、急にホールが出来たら流石に落下しますとも、はい。
「あー、浮いていてもこうなるんだー、ふーん。」
「いたた・・・。」
背中を軽く打った、けど地面が柔らかかったので、大して痛みは中田よ。
「・・・いきなりなに〜?」
「いや、申し訳ない、好奇心に打ち負けてな、それで何の用だい?」
「あ・・・えーっと、!」
近くに写真立てがある、テラとテノムさんの写真が。
「テラさんって何者というか、テノムさんとどういう関係なの?」
「テラとかい?テラは何故か一人でこの辺に来たんだよ、そしたら急に、助手にしてくれって言われたからさ、まぁいいかって。」
「そ、そんなあっさり・・・。」
「だって断る理由も無いんだし、人手は有って困るもんじゃないし・・・!」
そんなものなんだろうか・・・。
「そういえば、数年前の今日だったな、テラが助手にしてくれって来たのは。」
「え!?」
思わず身を乗り出していた。
「な、なに!?なんか不味いこと言った?」
驚くテノムさんでもそれより言いたいことが。
「いや!それなら何か記念のパーティでもしようよ!!」
「はい?」
「だって、それっておめでたい事でしょ!だったら祝おうよ!」
何故か体が勝手に動いている。
「うーん、まぁしてもいいんだが。」
「本当!?じゃあやろうよ!」
「ただ、なんの用意もないぞ。」
「いいの!いいの!とにかく気持ちがあるのなら!物は二の次三の次!」
「そういうもん・・・か?」
日付をしっかり覚えているんだから、祝う気持ちはあるはず!
「さぁ!準備しよう!」
「お、おう。」










レーダーを見つめるテラ。
「・・・もう一か所がプロトの研究所、もう一か所がテクノの研究所・・・、それでもう一つがあの丸い研究所、ということはあの滝の中にも研究所があるってことか・・?だがもし機械の故障で表示されていたら一発で色々おじゃんだよなぁ・・・検証はやめとくか。」



「さぁこっちは、終わったよ!」
「まぁこっちも何とか、というか味見しすぎじゃない?」
「いや、ヘチマってこんなに美味いものかなーって。」
これは、覚えておかねば。
「いや、知り合いに農家がいてだな、そいつが、ヘチマって食べれるんだよとか言って、いっぱい持って来たんだよ。」
「へぇ〜。」

急にアラームが鳴った!
「あ、もうすぐテラが帰ってくるな。」
「じゃあ、最終準備だね!」
どんな反応するんだろう。

「ただい・・・。」
「おかえり〜!!」
「!?」
速攻でクラッカーを鳴らすわちき、反動でぶっ飛ぶもテノムさんが止めてくれた。
「いや、テラが弟子入りして数周年記念ってことでさ・・・。」
「・・・。」
(無駄に)飾られた部屋を見渡して俯くテラ。
「あ・・・え?」
「発案はわちき!!」
「・・・あぅ。」
「気に入らなかったかい?」
ずっと俯いている。
「・・・う、」
「?」
「うわわわわわぁぁ!!」
急にわちきに抱きついてきた。
「ど、どうした?」
驚くテノムさん、そうだよね、その反応で良いんだよね。
「・・黙って泣かせて、グスッ・・・・。」
「・・・?」
なにかあったんだろうか、被り物の上からでは表情が読めない。
「・・えぐ、ありがと・・・バーサリー。」
「ど、どういたしまして?」
何がどうなっているのかまったく読めない、けど感謝されたならいいか。
「と、とりあえず、部屋に連れて行ってやれ、後で祝おうな。」
「え?う、うん。」
「・・・。」
確かにそれは一理あると思う。
「最初寝てた部屋あるだろ?あそこがテラの部屋だ。」
「わかった。」
「行く?テラ?」
無言で頷く、何でこんなに・・・。




部屋に着いた、とりあえずベッドの上に座って落ち着くのを待った。
「と、とりあえず、平気?」
「・・・うん・・。」
「急にどうしたの?何か悪いところあった?」
それならわっちの責任だ。
「・・無いよ、お祝いしてくれること自体は嬉しい・・。」
「じゃあどうして急に?」
喋り方が少し、変な気もするけど。
「・・・バーサリー、ちょっとだけ昔話に付き合って・・・。」
「え?・・・う、うん。」
何だろう。




私は昔から、機械をいじったり作ったりするのが好きでね、こういう自由な研究所っていうの人に憧憬していたし、いつかは自分のラボが欲しいなって思っていたんだ。

「へぇ〜・・・、良い夢ね。」
「その時は希望に満ちていたからね。」

でも、現実はそんな甘くないってね、土地も財もない私は家でずーっと孤独で機械の開発していたんだ。

「・・・。」
「現実って怖いよねどんな夢でも霞ませるんだもの・・・。」

そんなある日ね、ある人物が優秀な技術者を探す試験をしている、っていう話を聞いたんだよ、優れた腕前のメカニックにはあらゆる協力をするっていう特典もあるらしいからね。

「そんな試験が!」
「どこから入った情報かわかんないのだけどね。」

これで私の夢も叶う、私もその人に会って、協力したいと希望をいや、藁をも掴む思いでその会場に向かったんだ、遅刻をしちゃったんだけど。

「え?遅刻しちゃったの?」
「興奮しちゃって・・・。」

そして、その技術者を見極めるテスト会場を見つけたんだ、でも・・・見付けなければ良かったと今でも思っている。

「え?」

私がそこで見たのは死屍累々、地獄絵図そんなものしか例えられないような状態になっていたんだ、
 
「!?」

横たわる白衣らしき物を着ている人、それを見据える数人の人、そして大きな蛇、あれは直視しちゃいけないものだって分かった。

「え?え?」

でも蛇と目が合って、急いで逃げた、その時に私にあったのは、そんな夢は消えゆくものだと突き詰められたような思いと、あんな物を見てしまった恐怖心が混ざり合った何とも言えない、絶望感に満たされていたんだ。

「・・・。」

正直言えば恐怖心よりも夢を木端微塵に破壊された方がショックだったんだ。
あぁ、やっぱり私は夢を見ないで孤独でやっていればよかったのにって、自分で思って悲しくなったよ。

でも恐怖心が返ってくる出来事が有ったんだ、その試験会場にいた一人が追ってきていたんだよ、見たからには帰せなイってね。

銃口が無性に怖かった、でもそれで、この感情が消滅するならいっそここで、なんてことさえも考えてしまったんだよ。

「それって・・・。」

全てを諦めてここで散るのも最悪悪くないって、眼を閉じようとしたら、白い羽が見えたんだ、世間的に考えてそれは天使だと思ったけど、見えた瞬間私を抱えて飛び立ったの。

「えぇ!?」
「いや本当に。」

何発か攻撃が当たってるのに平気で遠くに飛んでって、私に言ったのよ。

「若い夢はここで終わらせちゃいけないです、想いが欠片でもあるのなら尚更。」

その言葉が何でか心にすごく響いてね、わずかに悲しみは消えたの、そして飛び去る時に私にもう一言、言っていったの。

「あ!メイドって何ですか?」

「え?なにそれ!?」
「さぁ、なんであんなことを聞いて来たのか分かんなかったなぁ。」

正直頭のなかはグチャグチャだったし、チグハグにしか答えられなかったと思う、でもその天使は頷いて。

「そうですか!ありがとうございます!」

その時の私が見たことも無いような満面な笑顔を残して飛んで行ったんだ。

「そ、それで!?」
「うん、その後にもう少し頑張ってみようと思ってね、適当に歩き始めたんだ。」

そうしたら、なにか建物が見えてね、フラフラな体でドアを叩いたんだ、そしたら。

「どうしたんだい?」

テノムが出てきたんだ、その時は科学者って知らなかったんだけど。

その後、なんの詮索もせずとりあえず休めって言われて、色んなことがあったから落ち着く為に休ませてもらおうと思ったんだ。

(さっきテノムさんそんなこと言ってなかったな。)

そうして、家の中に入った瞬間、なんか安心感が湧いちゃって大号泣しちゃったんだよ、今よりもね。

「お、おい!?どうした?」
「うわぁぁぁん!」

「ひょっとして泣いた理由って・・・。」
「・・・あのレーダーで研究所ばっかり見てきて、その上日付が同じでね、ちょっと思い出していたんだ・・・それで家に入った瞬間壁に飾られたリースとアナタの笑顔なんかが、あの時の天使にダブって見えちゃって・・・もう鮮明に思い出しちゃって、幼い自分が夢を想い描いて、砕けて散って、集めて進んだ日のことを・・・さ。」

「・・・。」
「それにバーサリー、アナタが家の前に倒れていたときからちょっと記憶の隅に蘇ってきていたの、昔の自分もこうだったのかなって。」
そうだったのか、そんなことが・・・。

「たはは、忘れてしまうつもりだったのにね。」
「テラ・・・!」
思わずわっちは泣きながらテラに抱きついてしまった。
「・・・・・。」
特に拒む様子は無かったむしろ、受け止めてくれた。
「・・・バーサリーはバーサリーでもお祝いとかフェスが大好きなバーサリーか、フェス=バーサリーってとこかい?」
「わっち?フェス=バーサリー・・・。」
聞こえた名前を繰り返す。
「・・・テラ!辛い時が有ったらいつでもわっちに言って!いつでも明るく!励ますよ!」
「ふふっ・・・号泣しているやつが何言ってんのさ?」
「ほぼゼロ距離だから分かるよ、テラだって泣いているじゃない!」
「そうかもね。」
この時、私はこの被り物は憧れだけで付けたものでは無いんだと初めて思った。


「あぁさっきの励ますって話だけど・・・」
「?」
一度体を離した、何だろう?
「私だけじゃない、誰だって何にだって、祝って励まして祝福して応援してやってくれ、昔の私みたいな奴だって救える子だよ“フェス”アンタは!」
まっすぐわっちの目を見てる、と思う。
「でも今はテラを・・・!」
「祝いたいんだろ?」
「うん!」

この後したパーティがわっちの最初のパーティだった、すごく楽しくて、わっち自身も楽しかった、この後から、テラの言った通り、皆を祝うために色んなところで色んな人、日とかを祝っていった!














「あの時のパーティは忘れられないよ!」

「私もさフェス!」

「だけど・・・!」

「分かっているさ、思念体である以上は向こうに行けないかもしれないって、相談しに来たのだろ?」

「う、うん!」

「だったら、私に言えることは一つだけ・・・。」

「若い夢はここで終わらせちゃいけない、想いが欠片でもあるのなら尚更。」

「!」

「フェス貴方は全てを祝うっていう夢も希望もあるのだから!」

「う、うん!」

「だから安心しろ!きっといけるさ!私は向こうにいくしな!」

「でも、テラ!・・・その向こうに行く方法って!」

「テノムも同意の上だし!私のトラウマのことなら気にするな!もういいんだ!過ぎたことだ!」

「そう・・。」

「また会おうな?」

「・・・もちろん!」

そしてまた二人が出会うのは、もっと先のお話で。

想う。

「お・・・おぅ?」
目を覚ましたら、顔が無性にくすぐったいので起きてみると・・・
「にゃあ、にゃ!」
「うん?」
猫?みたいなのが顔を舐めてくる。

「ちょっと〜、あんまり森の中で勝手に行動しないで〜!」
「?」
近くで何か声がする・・・?そういえば周りは木々ばかり、森なのかここは。
「ったく、ロジックも探すのをサボっているみたいだし、みつけんのも楽じゃない。」
ひょっとしてこの猫探しているんだろうか?
「やれやれ・・・。」
顔を舐めている猫を抱え、声のする方へ行こうと・・・。
「うん?足ねぇな。」
自分に足が無いことに気付く、代わりに霊体みたいのがあるからまぁいいや。
「おーい、探してるのはこの何か猫みたいなのかい?」
「え?あ、どうも、そうで・・・。」
「?」
こっちの顔を見て青ざめている、何だ?
「ギャアアアアアアアアア!!化けて出た!」
「はい?」
「ちょ、ちょ!ロジック!おい来い!」
「あんだよー、今茸の栽培してん・・・。」
違うところから声が・・・というより此処で茸栽培する気なのか、結構奥深い気がするが平気か?

「!おおおお!?」
そして、そいつは物凄い速度で抱きついてきた。
「ちょ・・・ロジック!」
「あぁ、あったけぇ、やわらけぇ・・。」
思いっきり抱いてくるため、少し苦しいし・・・。
「・・・」
「って!?のおおお?」
「そぉい!」
何か虫唾が走ったので、一本背負いを決めてやった。
「イッティ・・・。」
眼がクルクルになっている、どうなっている。
「何だよ、急に。」
「まぁ、そうなるでしょうね。」
「・・・それはともかく、化けて出たとか言われたが、私は幽霊か何かなのかい?」
「え?うーん、思念体か幽霊だと思うんだけどねぇ。」
「思念体・・・。」
何だろうその単語を聞くと心がキラキラする。
「・・・目が輝いているね、じゃあ思念体なのかな?って、思念体!?」
「おおう?」
急に手を握ってきた、そんなんばっかりかコイツらは。
「あの、良かったらで良いのですけが、私達の研究を手伝っていただけないかなぁ、って。」
「研究?」
学者かなんかか?
「えぇ、思念体について今研究している所なんです、と言っても、肝心の思念体の皆様には協力を断られているのです(;ω:)」
「そ、そうなのか?」
「はい、違反の思念には「知るか」、破壊衝動の思念には「うっせぇ、壊すぞ」、欲の思念には「む」、慈悲の思念には「ごめんなさい」、その周りの思念には「やだ」「断る」
嘘の思念には「もちろんOKだYO。」って言われて、やった!と、思ったらうっすら気づいていたけどウソだったし〜。」
「そ、そうか。」
1人も知らない時点で何が何だか。
「ま、まぁ、思念体について知れるっていうのなら、手伝ってもいいけ・・・。」
「本当!ありがとうございます!」
握った手を嬉しそうにブンブン振り回す、返事は最後まで聞こうね、うん。
「みゃあ。」
「そういえばコイツは?」
「あぁ、その子はね、あそこで伸びている奴のものよ。」
「・・・。」
そういえば、起きない。
「にゃあ!」
・・・なんだ?言葉が分かるぞ。
「・・・あ?帽子になりたい?」
「え?」
「にゃ!」
「ったく、いきなり色々ありすぎだろ、いいよ、勝手にしな。」
「♪〜」
(・・・あの帽子猫があんなになつくなんて、ロジック起きたらビビるだろうなぁ。)
「とりあえず、私たちの家兼ラボに来てよ!」
「ん?ソイツ起こさなくてもいいかい?」
「いいよ、引きずっていけばいいんだし。」
そう・・・か?








ズルズルと本当に引きずっている、いいのか?
「もうすぐだからね。」
「あ、あぁ、そうなの。」
ていうより、見た目より怪力だな、この子。
「ここ!」
なんか全体的に丸い研究所だ。
「へぇ。」

中の広い講義の部屋の様な所に案内された。
「広いな。」
「無駄にね。」
確かにさっきの奴と2人暮らしなら無駄に広いかもな。
「それで、思念体について今まで私たちが調べたことについてお話しするわ!」
「ん?いや?ちょっと待って」
「何?」
「そういえば、何て名前?」
「あ、ゴメン忘れていたわ、私はヒューリ=スティクスよろしく!」
「よろしく、それで、思念体っていうのは?」
「思念体、この世界の感情や行動が具現化されたもので、一般的に足が無くて、霊体になっているの、例外も何件かあったけどね。」
成程、私に足は無い。
「それで、思念体は具現化して行動や感情を性質として1つ持っているみたい、さっき言ったのなら「違反、破壊衝動、欲、慈悲、信仰心」みたいなね、それでそれが途中で変化することもあるとか、アナタも思念体なら何か有るはず。」
私にもあるんだろう、そういう物が、分からんけど。
「そして、大抵が、何か能力を持っているのがスタンダード「違反を力に変える」とか「破壊を操る」とか、まぁ、意外とこれわかんないかもね。」
能力か、何なのかは、いずれわかるか、いずれ。
「それで、発生のしかたまでは分からないの、アナタみたいに急に現われる例が多いらしいけどね、主観だけど。」
「主観かい・・・。」
今はコイツの予想を聞きたいわけではないのだが。
「アナタも性質有るはずなんだけどねぇ。」
「そうか、私が何の性質か予想出来ないものか?」
「予想って言ってもねぇ、予想できるほど思念体といないしなぁ。」
そうか、予想は難しいか。
「ま、自分で予想すればいいんだけどな。」
「え!予想だと何なの!?聞かせてその予想。」
1つ思ってた言葉が有る、というかウザったい程出ている単語だ。
「よ そ う だ」
「止そう?何をですか?」
「分かってて聞き間違えたろ、予想だ、予想。」
「予想?まぁ、面白い性質ですね。」
面白いのか?
「メモっとこ、ロジック起きるまでに多少まとめないとね。」
そういえばさっきの奴が起きる気配がない、というより。
「なぁ、さっきさ、化けて出たとか、私誰かに似ているのか?」
「あぁ、その話?うん、ロジックのお母さんに似てるんだよ。」
親がいないのか?
「・・・、そうね、ロジックも寝てるし、私も協力を頼んだ以上は話さなきゃいけないよね。」
「?」


「ロジックの両親はもともと優秀・・・いやそこそこ優秀な科学者だったのよ。」
「直す意味あるか?」
「私の方が凄いし。」
負けず嫌いか。
「ともかく、科学者だったわけ、それでその技術を広くに普及させるために講堂兼ラボが欲しいってわけで、ここを借金で買ったの。」
「へぇ。」
「それで、営業していたんだけどいかんせん、生徒不足でね、ま、取り立てが多かったんだけどね、ほら此処って無駄に広いでしょ、それなりの金額だったのよ。」
「ん?金額知っていたのか、ていうよりお前どこで此処に入ったんだよ?」
「慌てない、慌てない、追って説明するから。」
「・・・じゃあ、続きを頼む。」
「えっと、それで経営が圧迫されていた時にね、美味しい話が入ってきたんだよ」
「美味しい話?」
「優秀な技術者募集、試験に受かればなんでも協力するっていう話が来たんだよ。」
「そんな話が・・。」
「怪しいだろ?私は行かなかったんだがね、案の定そんな話無かったらしい、まぁ言ってないから確証はないけど。」
「無いのかい。」
「しゃあないでしょ、実際に現場で見聞きしたわけじゃないんだし、とにかく!そんな試験が有ったんだよ、それで生活がひっ迫している、ロジックs親はその話を疑いもせず試験会場の郊外の森に向かったんだ。」
森って・・・、なんでそんなナチュルな場所でやると思えるんだ。
「それっきりさ、一切親が戻ってくることは無かったし、連絡もない、完全に蒸発してしまったんだよ。」
「どうなったんだ?」
「さぁ?それでラボに残ってたロジックとその帽子猫は孤立したの。」
「zzz」
(帽子のくせに寝てる上、よだれ垂らしやがる。)
「・・・正確に言うと、唯一の生徒だった私も含めてね。」
「!」
「まぁ、その後私もちょっと気になって現場に行ってみたんだけどね。」
「どうだったんだ?」
「惨劇の跡以外何もなかったし、何もいなかった。」
「惨劇の跡?」
「抵抗したような跡と、それを弾圧したような、そんな様な跡。」
見ただけでわかるのだろうか。
「すくなくとも、無事ではないな、と思ってね、ロジックにそのことを全て話したんだ、どうも子供には心配かけたくないって、私とか一部の生徒にしか話してなかったみたい。」
「それで?ロジックだっけ?アイツはどうなったんだい?」
「親が全てなアイツは大号泣さ、ま、アイツも若かったからね、まだ若いけど、子供ってそんなもんだしな。」
そうか、それでさっきは急に飛びついて来たのか。
「それからというものアイツは無気力な人形みたいになっちゃってね、全然やる気見せないのよ。」
「でも、今は普通だよね?」
「まぁね、時間ってのは凄いね。」
でもまだ疑問が有る。
「借金ってどこ行ったんだ?その話だとまだ大量に残っているはずだが。」
「あぁ、それはね、私が払ったの、自慢じゃないわけじゃないけど私けっこう裕福だから。」
自慢かい。
「それならなんで最初から払ってやんなかったんだ?」
「生徒に負担はかけちゃいけないって精神かららしいね、それで自分たちが消えちゃったんだから本末転倒だけど。」
ガバッ!!「ちりめんと煮干しの甘辛いため!」
「うわ!起きた!」
さっきから、倒れていたロジックが急に立ち上がった。
「あら、起きたの?」
「あ、か、かかぁさん!」
またこっちに突進してき
「そいつはかあさんじゃないわ!」
「がはっ!」
左手の一撃で制止、再び撃沈。
「幽霊じゃなくて思念体みたいよ、性質は予想。」
「がはっ、グフッ!え?思念?」
「・・・。」
見た目より重い一撃だったらしい、立てなくなってる。
「そういえば、名前は憶えているの?」
そういわれれば。
「名前?うーん特に出て来ないなぁ。」
「じゃあ、私達で付けちゃおっか、いい?」
「あ?まぁいいか。」
別に名乗る名前は無いのだから、何でもいいや。
「ロジックカモン!」
「いや、待って、腹が。」
「立てい!」
「は、はい!」
「・・・。」
コントか、後ろでヒソヒソやっている、長い。
〜10分後〜
「決まりました!」
「どんなの?」
「まずロジックの提案でお母さんの名前アポリアを襲名していただきます!」
アポリア?」

「そして次に予想の思念だからということで私が逆賭(ぎゃくと)を与えて・・・アポリア=ギャクト!これでどう!?」
アポリア・・ギャクト・・・。」
いい、すごくいい。
「気に入ったよ!うん・・・アポね。」
「そう、なら良かった。」
「それと・・・ロジックの提案何だけどさ、自分で言いな。」
「?」
何だろう。
「あの・・・師匠って呼ばせてください!」
「はぁ?」
「その猫帽子、父さんのだったんだけど全然懐いてくれなくて、もう諦めかけてたんだ!でもあっさり懐いて被れるなんて、母さんが嫌なら、せめて師匠で。」
「その理屈は分からんが、名前を付けてくれたからな、まぁ勝手にするといい。」
「やった、師匠!」
ということは弟子か。
「私もせっかくだから師匠って呼ぶことにしたわ。」
「おう、じゃあ弟子たち。」
「なに?師匠。」
「他の思念体に会いたい、何か無性に。」
ぽっとそんなことを思った。
「よぉし、行きましょう!師匠! ヒューリ!」
「はいはい。」
何か調べ始める。
「これ、はい。」
いくつかの書類を渡している。
「おう、これは今調べた限りの思念体の位置だ!」
「ほぉ!」
まぁそんな気はしていたが。
「それでどこから行くんだい?」
「もちろん考えていますよ、師匠!」
「どこだい!」
「ここだ!」





「それで?何で俺のところに来るんだ?」
「いや〜、近くにいたので!」
「・・・キラキラ」
「何でこんな澄んだ眼で見つめられなきゃならない?」
「お名前はぁ?私はアポリア=ギャクト。」
何か頭が吹っ切れた。
「し、師匠!?」
「・・・帰っていいか?」
「待ってください!」
「名前〜。」
「えーい!手を握ってくるな!分かった!分かった!俺はヘイト=レッド!怨みの思念だ!」
「ヘイトさんですかぁ、良いお名前・・・。」
「師匠、性格変わってます。」
分からんが、こうしていたい。
「とにかく手を離せ!」
「あぁ。」
振りほどかれた、寂しい。
「・・・ハンドクラッカーァァ!」
「わわっ!」
突然の爆風。
「逃げられたか。」
「あぅうー。」
「泣かないで下さいよ師匠。」
「ま、まだいますから。」




「・・・・。」
「あ、あの!」
「・・・。」
「彼女は気難しいのよ。」
「・・。」
「だったら!全速前進だ!」
真っ直ぐ向かう
「おーなまえーはー?」
「・!」
「ぅわあ!?」
「あー、拒まれたか。」
「師匠!!」
そこそこ遠くまで飛ばされた、うう・・・嫌われてるのか?

「彼女は拒絶の思念らしいよ、だから近づいたら大抵吹っ飛ばされるよ。」
「最初に言ってよぉ。」
「ま、まだ次ありますよ。」



「あら、新しい思念なんですか。」
「そうです!アナタのお名前は?」
やった!会話が通じた!
「私はヴィヤズと申します。」
「ヴィヤズさんですか、私はアポリア=ギャクト!!」
「は、はぁ。」
「まぁ、いきなり手を振り回されればそうなるよね。」
「・・・アポリアさん申し訳ありませんが、私はこれから破損データの修復に行かなければならないのですが・・・。」
「そっか、じゃあ、また会ってくださいね。」
「ええ、また会いましょう。」

(これ会えないんじゃない?)
(言ったらだめよ。)


「うーん、今調査出来ている人に変わりないなぁ。」
「人じゃない!思念だ!」
「うぇ!?」
いかん口が勝手に。
「師匠、思念絡むと怖いっすね。」
「え?あぁ、すまん取り乱した。」
「それよりさ、一度ラボに戻らない?」
「え?」
唐突に何だ。
「いや、実はお腹減っちゃって。」
「はぁ・・・?」
「それで!家に帰ろうと?ヒューリ?」
「うん。」
「じゃあ、師匠帰りましょう!」
「え?他の思念は?」
「また後でな。」
「むー。」


戻ってきてしまった、もっと思念体といたかったのだが。
「さーて、ご飯つくロット!」
「何の杖だよ。」
「・・・。」
でも、これからどうしようか。
「師匠、家に泊まりましょうよ!空部屋ならたっぷりありますし。」
「そ、そうか?」
他に当ては無いし、一度ここで策を練るというのもありかもしれないな。
「じゃあ、そうさせてもらうかな、やたら眠いし。」
「奥にベッドあるんでどうぞー。」
とりあえず、寝よう。




「・・・!?」
「悪いが協力してもらうぜ。」
「こんな大勢の部下を連れて何をしようと?」
「何もしないさ、そっちがなにもしなければな。」
「ロジック・・・ロジックゥゥ!?」
「ゴメン☆捕まった!」
「動けばコイツがどうなるかわからんぞ?」
「チッ、何処へ行けばいいんだ?」
「黙って付いて来ればいいのだよ。」
「・・・、分かったでもメモ用の書類を何枚か用意させて。」
「何故だ?」
「そうじゃないと、協力できないわ。」
「まぁ、いいや、早くしろよ。」




「ふぁ〜あ。」
あんまりいい目覚めでは無かった、猫帽子を被って寝ることになるとは。
「おーい、弟子共!」
「・・・。」
あれ?
「いないのか?」
なんだろう、嫌な予感がする。
「ん?」
これは、書類を重ねてあるが、なんだ?
「使  命感、批  判、転  移、扇  動、ゆ  め、じ は、秘  密、弱   気、爆  笑、信  仰心、禅  定、疲   労、望   希」
何かの暗号か?思念の性質か?・・・・。







「ん?全部思念体の名前も書いてあるな。」
そうか!
「・・・成程な。」
部屋を探り、私はある場所に向かった。





はずだった。
「と、遠い、なんだこの距離は・・・。」
ヘロヘロだし、もう無理、あともう一息なのだが。
「むぎゅー。」
倒れてしまった、お腹も減ったし、限界か。
「あ?」
目の前にあるのは葉っぱ?
「はむっ!」
何だこれは!ウマいぞ!
「バリバリ。」
青虫とはこうなのだろうか。
「はむ、むぐむぐ。」
「さーて、うん?」
「ムグッ!」
声がした、まさかこれ作物だったのか?
「誰だい?」
「・・・。」
イカン・・・どうしたものか。
「なんだ?また迷い人か?」
「迷い思念だ!・・・・・・あ・・。」
「おう?」
しまった、習性で。
「迷い思念?まぁいいけど、それ気に入ったのかい?」
「あ?えー、美味しかったけど。」
「セロリ好きか、なら今もっとあげるから家に入んな。」
へ?
「ディグリー!」
「あいあいさー!」
うわっ、なんかいる!
「よし行こう!」
「わわわ!?」
私より背が低いのに軽々持ち上げられた、どうなっているんだ?


「・・・、泥まみれじゃないか。」
「うん?そういえばさっき葉っぱもといセロリを食べたときに付着したのか。」
「体洗ってきたら?食べるもんはテキトーに用意しとくし。」
「あん?」
何を言ってるんだ。
「替えの服もあるよ!」
「はぁ!?」
何故ここまで至れり尽くせり!?
「迷い人が多いからね、この間は死にかけの思念と角の生えていた女の子だったけど。」
「思念?」
「元気になったらどっかいっちゃったけどね。」
「なんだ。」

まぁ、でも私も女の子なんだし、服装も気にするか。
「じゃあ行ってきますか。」
「ディグリー案内頼んだぞ!」
「ウイッス!!」


入浴&着替え&洗濯中


「ふぅ〜、生き返ったね、死んでないけど。」
「それは何より、ほい。」
「おぉ!」
目の前にはフルコースが!
「うまうま。」
何か肝心なことが欠落しているような・・・。
「あ。」
ロジック、ヒューリ・・・。
「ああああああああああああ!」
「ど、どうした?勇者の名前テキトーにつけたのか!?」
「違う!えっと、目的地はここじゃないんだよ!」
「目的地?」
「この先にある町に用が有るんだ!」









「それで?何の協力をすればいいわけ?」
「簡単だ、思念についてだ。」
「だったら、素直に思念に聞けばいいじゃないか!」
「うるさい、僕は僕のやり方でやるよ。」
「銃を向けるなよ、おっかないだろ。」
「おいおいモデルガンじゃないぜ、これは愛銃」

「「ノットロードさ!」」


「服乾いたぞ。」
「早いな!」
「アポは行くぜ、飯ありがとな。」
「また来いよ〜。」




「あと少しだ・・・。」
レーダーに映っている建物は見つかったが、どう行こうか。
「見張りがいるなぁ。」
「何やってんだ、あんた?」
「!?」



「つまり、思念が自身の性質を振り切った性格になれる方法はあるか?ってこと。」
「そのとおりだ、感謝をしない感謝の思念みたいな感じにできるのか?」
「ふー、答えから言うと無理ね、ロジックの研究結果によると、それは性質変化をさせないと、ただ、どうやったら性質が変わるかわからないけどね。」
「出来ないだと?アイツの迷いを断つことは出来ないのか?いや!お前ら!なにか方法を考えろ!その為に連れてきたんだ!」
「アイツ?」
「質問は受け付けない!」
「ロジック!」
(ロジックさえ、人質にされてなければ・・) 





「ふーん、あの中の奴を助けたいのね。」
袋を被っている思念と目を閉じている女の子がいた。
「それじゃあ、私が囮になりますよ。」
「あぁ?手伝うのかよ、せっかくじゃが芋持って来たのに。」
「運動した方がおいしく感じますよ、それに、本当は暴れたいんでしょ?」
「・・・見破るねェ、でも日目も試してみたいんじゃないの?」
「そうだ、装置の成果を見せてくれ!」
「うぉおあ!?」
急に背後から、クマガッツリな白衣の思念が出てきた。
「いたのかよ?」
「早く行くが良い。」
「仕方ありませんね。」
「猫頭は勝手に行きな。」
「・・・ポカーン。」
ついていけない。



「そうだねぇ、強い想いがあったりすれば、体が変化を起こすかもね。」
「強い・・・。」
「だけど、下手すれば、存在が危うくなるかも。」
「リスキーというわけか。」
「そうか・・。」
「でもこんなことする割には目的は自分のためじゃないのか?」
「・・・質問は受け付けな・・・」
「これは思念体の変質には大切なことだ、教えてくれ。」
「・・・ちょっと前、僕は思念を助けた、不良グループの長である僕がね。」
「別にいいんじゃないの?」
「良くない!それで、その思念は僕を慕ってきたんだ!舎弟関係ではなく、家族として、だがそんなものは僕にとっては不要だった、だから!関係を切ったんだ!」
「・・・。」
「ソイツが纏わりつかないように!性質を変えようと・・・爆音!?」
「何だ!」
よし、注意が外に向いている。
「ロジックこっち!」
「師匠!」
「族長!見張り20人がほぼ全滅です。」
「なに!?」
「やれやれ!」
「!」
ヒューリが縛られていた腕を自力で千切った!?
「この程度で縛った気になってるなんて甘いねぇ、このヒューリステックス相手にさ・・・。」
「ロジック、これ・・・どういう事?」
こんな強気なのか?
「ヒューリ怒らせるとこうなるんだよ。」
周囲にいた部下を一撃でなぎ倒すヒューリ。
「な、なんなんだ、おまえは・・・。」
「さぁ、なんだろうねぇ。」
「・・・くっそが!」
あっさり相手の拳を制し銃を取り、蹴りを入れる。
「かっ・・・。」
ヒューリの顔色が変わる。
「!アンタも何だ?」
「どうしたんだ?」
「存在が薄いね、生きてんのか?アンタ。」
「・・・。」

「おいおい、まさかソイツ。」
「ゆ、ゆうれ・・・。」
「亡霊か・・・。」
白衣の思念が付いてきていた!ビックリ!
「・・・ふむ?なるほど私の研究対象にはなりえんな。」
「どうして?」
「ソイツはもう消えるからだ。」
「!?」
そういえばさっきより透けているような。
「・・・説明しろ、お前の口から!」
思わずそう言っていた、どうした自分・・・思念でもないのに。
「・・・隠す意味も無いか、良いだろう話してやる。」
 
 助けたという話は本当だ、巨大な蛇からな。

「巨大な蛇?」
「あぁ、デカい蛇だった。

だがその先は違う、僕はソイツにこの世界から弾き出された、計画を邪魔するものだとな。

「計画?」
「それが何なのか全く分からないがな。」
嫌な予想が立っている、外れることを願うばかりだ。

その後僕はなんとか、半ば幽霊と思念の様な何かとなってこの世界に強引に戻ってきたんだよ。

「だが、その存在も中途半端だったようだな、しかもそこいらにいる部下も同じ様に消え始めている。」
「・・・ここにいるのは、もともとこの世界を離れていた奴らが多い、そんな奴らが、僕の会った、あの思念の所為なのか、未練がましく帰ってきたんだが、はっ、僕が消えたら連動して消えるのかよ。」
「そんな仕組なのか?」
「そうみたいだ・・・。」
もう消えてしまいそうだ。
「じゃ、じゃあ最後に聞いていいか?」
口が勝手に動いている、何でだ、何でなんだ!
「何だ?」
周りが全員こっちを見ている、だが言葉は続く。
「お前は本当にその思念を除けたいが為に性質変化させたかったのか?」
「・・・!」
動揺している。
「どうなんだ!」
消えかかっている奴の胸倉を掴むのは気が引けないことも無いけど、そんな精神状態ではない。
「・・・・・もうどうなってもいいか・・・あいつは悩んでた・・。」
「・・・。」
「迷う自分に、答えを出せない自分に、悩み、苦しんでいたんだ!」
「それを救いたかったんだな!」
真っ直ぐと眼を見るとそれが本心なのだと分かる。
「・・・だから何だ!例え、周りからみて間違っている方法だったとしても!僕はアイツの迷いを断って、楽しく過ごしてほしんだよ!!」
「お前の気持ちもわかる、だが!その思念体は本当にそんなことを望んでいたのか!!」
「・・・!何もわからない奴がなにを言う!!」
「あぁ!分からないね!だけど!分からないこそ言えることもあるんだよ、その思念はきっとお前の想いを知って更に悩んでいるんじゃないのか!?」
「・・・分かってるよ!!そんなこと!・・わかって・・・るんだよぉ。」
「・・・お前自身、悩み、苦しんでたんだろ!?そんなに苦しいなら話せよ!誰かを頼れよ!」
「・・・・・頼りたかったさ、だが、今まで素行不良だった僕に手を貸す奴なんていなかったよ。」
「それはお前の勝手な思いだろ!どんな素行不良だったとしても誰かを救いたいのなら、協力してくれるやつは絶対何処かにいるんだよ!!」
「・・・お前みたいな熱い思いのある奴がいれば良かったのにな・・・。」
周りに恵まれない上に辞めさせられたのか・・・。
「・・・これを持って行け。」
近くに落ちていた銃を渡してきた。
「この銃はノットロードって言ってな、先に道が無い、諦めと悲しみの銃だった。」
「だった?」
「これからはお前が、後ろに道が無い、未来への希望の銃として使ってくれ。」
「・・・なんでアポに?」
「それは僕にはとても扱いきれないし、そこのロジックとか言ったか?」
「!な、何だ!?」
急に話を振られて、驚いている。
「お前の親が持っていたものだ、息子が思念と一緒にいてその思念が信用できるやつだったら渡してくれと言われていたんだ。」
「おれの親が?会ったのか!?」
「あぁ、・・・・・消える前にな。」
「!」
ロジックの表情がみるみる曇っていく。
「ロジック・・・。」
ヒューリが心配そうにみている、白衣の思念さんは考え事をしている様だ。
「・・・それにしても。」
この銃は妙にしっくり来る、まるでアポの為に作られているみたいに。
「・・・そこの思念よ耳を貸せ。」
「?」
なんだ?
耳を貸す、正直思念以外にこんなことはしたくないが、コイツも思念もどきみたいなものらしいからいいか。
「もし、その悩んでいる思念に会ったら伝えて欲しい、〜〜〜と。」
「!?」
「出来ることなら迷いを払った後、自分の口から言いたかったんだがね、どうも間に合わない様だ。」
「そ、そん、それってお・お・・まえ!ば・・・なん・・・アポだって/////」
「迷うことなき、本心さ・・・。」
「・・・何を言ったんだろう。」
「さぁね、でもロジックさ・・・何か想うところあるよね。」
「?」
「偶然会った思念が、アンタの母さんそっくりで猫帽子が懐いて、そのうえで親が残した銃を渡される、到底これって予想出来ないことじゃない?」
「ま、まぁ、そうだな。」
「そん、どうすんだよ・・・これアポが・・・言うんだろ・・・//////」
「お迎えが来たようだ・・・頼んだ・・・・z」
「消えた・・・。」

「いや・・・え・・・だって・・・やだー//////」
「し、師匠平気ですか?」
「え?いや平気は、平気だけどさぁ!!/////」
「耳まで真っ赤よ!」
「キャー。」
白衣の思念に抱きつく。
「・・・なんのマネだ?」
「いや、もう発散法が見つからなくて。/////」
「成程、だが、私は研究結果も採れたし帰らせていただくぞ。」
「っ!?」
あっさり抜けられた。

「新分野の良いデータが取れたな、ではまたな!」

「雑魚しかいなかったな。」
「いえ、途中で消滅したから、実際そんなに戦ってないですよね。」
「ま、早くじゃがバター作ってよ。」
「はいはい。」






「これから、どうするの?」
「うーん、思念体巡りでもするさ、あ・・・あの事も言わない・・・とだし。」
(ホントに何を言われたんだろう。)
「・・・師匠は私たちの研究対象でもあるのよ?忘れないでね。」
「あぁ、そうだったな。」
「・・・・。」
「ロジック、母さんと重なるのは分かるけど、師匠だってやりたいことはあるよ。」
「上手く表現できないよ、今の気持ちは。」
「旅に出るって言うんだから、素直にお祝いすればいいの。」
「・・・。」
「・・・安心しなさい、ロジックまた帰ってくるわよ。」
頭を撫でていた、時々自分がなんでこんなことをしているのか、素直に予想できない。
「か、あさああん!」
「うお!ま、今はいいか。」
正面から抱きとめる。
「・・・私がこの研究所に残った意味があったみたいね、良かった良かった。」

「必ず戻ってきてね!!」
「もちろん。」





















「懐かしいね、大分昔のお話だ。」
「というより、あの人消えた時、皆反応薄かったよね。」
「だってそれ以上に、あんなこと言われちゃあね。」
「あ、何て言われたの?」
「まだ本人に伝えられてないからダメ。」
そうなのだ、ヒントが少なすぎて全く掴めないのだ、悩んでる思念なんていくらでもいるしな。
「え?まだなの?」
「ま、まぁね、旅にでたのだいぶ前何だけど。」
「あの後3日後に帰ってきたのは吹いたけどね。」
「だって行くあて無かったもん。」
「まぁ、心配するよりはいいじゃん。」
「あの後思念体増え続けてるよね。」
「保存に無自覚だっけ?更に不安に、模倣だったかな?」
「な!?知らない!」
増えるのは嬉しいが知らないのが増えるのは悲しい、会いに行かねば。
「そういえば、今日は何の用なの?昔話を懐かしいねー、っていうわけでもない気がするんだけど。」
「う、それはだな、新世界に行けるかどうかなんだけど。」
「無理じゃない?」
「な!?」
「思念体ってこっちの世界の具現化だし。」
「う・・・そうだよな。」
「でも、何とかなるんじゃない?」
「え?」
「だって、新しく思念が増えるとしたら新世界だし」
「それなのにあの師匠がこっちで消えたままとは思えない。」
「ロジック意外と冷静だな。」
「ははは、じつはなヒューリ。」
「私達は新世界に行くよ!」
「は?」
「方法は違うけど、新世界に行って、研究を再開しないと!」
「ね☆」
「・・・ふふ、そうか。」
思念以外で笑うことなんてまず無いと思っていたけど、そんなことは無かったか。
「また会おう弟子たちよ!!」
「ええ!!」
「もちろん!!」
そしてまた、3人が出会うのは、もっと先のお話で。









おまけ・メッセージの読み方。
「使  命感、批  判、転  移、扇  動、ゆ  め、じ は、秘  密、弱   気、爆  笑、信  仰心、禅  定、疲   労、望   希」
これはまず名前に変換して性質が反対なのは苗字と名前を入れ替える。
「ダーティ、スピア、ゲーティア マッド、つくも街道、バニッシュ、ジグレット、ヨワキ、はるつぐれ ビリーヴ、ダ、ダーイー、シグレ」
文章になるよう濁点を取って頭文字をとる。
「たすけまつ、ばしょはひきだし」
「助け待つ、場所は引き出し」
引き出しにレーダー入れといたんですね、ご都合主義。